日本全国の萩尾望都ファンの皆さま。
…いいえ、それじゃ足りませんね。
萩尾先生の人気はグローバルですから。
世界中の萩尾望都ファンの皆さま。
今まで、『ポーの一族』は、架空のファンタジーだと思っていませんでしたか?
私はそう思っていました。
でも、違った。
エドガーは実在しました。
宝塚歌劇団公式サイトのメニュー『公演』にて、その麗しい姿を拝めます…!
アッシュグレイがかった銀髪に近い、プラチナブロンド。
強い目ヂカラを持ちながら、クールな雰囲気。
玲瓏とした存在感。
「原作のエドガー(14歳)より、年齢設定を少し上げた」
…と小池修一郎先生(脚本・演出)は仰っていましたが、確かに14歳より少し年上に見えます。
おそらく16歳くらいでしょうか?
それとも、17歳?
少年と青年の過渡期。
一秒ごとに闇が光をのみこんでいく、夕暮れのような…。
不安定で危うい芳香を放っています。
原作でいえば、『ランプトンは語る』の頃のエドガーと雰囲気が近いような。
(連作シリーズなので、描かれた時期によって、絵柄が変化しています)
(Kさん、ランプトン・エド画像送ってくれて、ありがとうございました)
記憶喪失になったエドガーを、メリーベルが連れ帰りにやってくる『エヴァンズの遺書』が、絵もお話も空気感も、とてもとても好きです。
ただ、『ポーの一族』の中では、雰囲気といい、内容といい、異色作といえるかもしれませんが。
記憶が戻ったエドガーとメリーベルのやりとりは、本シリーズで最高のハッピーエンディングだと思います。
『リデル・森の中』も、ハッピーエンドと言えましょうか。
エドガーとアランが、孤児になったリデルを育て、やがて肉親をみつけ、手放す物語。
男夫婦の子育てストーリー…ではありません。
むしろ、エドガーママが、長子アランと末っ子リデルを育ててたのかも。
アランは、わがままで甘えん坊ですからね。
(己を頼ってくれるアランだからこそ、エドガーにとって救いとなり得たのですが)
エンディングが印象的といえば、『ホームズの帽子』でしょうか。
「クリスマスは?」
「ロンドンで」
…という、エドガーとアランの何気ないやりとり。
今でもクリスマスが近づくと、その場面がふと脳裡をよぎります。
わたくし事で恐縮ですが、エドガーと似たような年頃(…って、約270歳?)の、ある日。
ヒースロー空港へ向かう飛行機がロンドン上空にさしかかった時、絵本のような美しい景色に胸を打たれました。
映像や画像で見る美しい景観は、ごくごく一部の観光用だと思っていたので。
(日本はわりとそうですよね…?)
ちょうど夕闇に包まれはじめ、刻一刻と空気が変化していく時間帯。
淡いオレンジからピンク、そしてすみれ色へと変わっていくロンドン。
まるで、おとぎ話のようだと思いました。
こんなに美しくて、夢のような街並になら、エドガーも本当にいるかもしれない。
…と、胸ときめかせた事を思い出しました。
(他にもピーター・パンやシャーロック・ホームズなど、想像を膨らませたっけ)
当時の印象が強くて、今も英国は黄昏のイメージが浮かびます。
明日海さんのエドガーは、玲瓏としていて、謎めいていて。
黄昏のロンドンが似合いそうな少年ですね。
残念ながら、エドガーには遭遇できませんでした。
(そりゃそうだ)
ですが、ダイアナ妃は拝見できました。
チャールズ皇太子もいらしたので、正確には皇太子ご夫妻ですね。(当時)
(渡英の目的の場所に、皇太子ご夫妻もご臨席されたので)
ダイアナ妃の座り方が、とてもエレガントでいらした記憶が残っています。
真似してみたものの、すぐに音を上げたんですけどね。
組んだ脚をななめに流して座るんですが、これ…まず脚の長さに余裕がないと無理。
その座り方で、なおかつエレガントに長時間、姿勢を保持するなら、脚の長さに加え、相当の筋力がいるかと。
朝夏さん、鳳月さん、珠城さんら、鍛えている足長ジェンヌなら、優雅に再現できそうです。
英国は、夢の国。
宝塚も、夢の国。
余談ですが、花組は『ハンナのお花屋さん』でも英国が舞台ですね。
イギリスが続きますね。
加えて、ハンナも、ポーの一族も、シリアス路線。
2016年初頭の外箱公演『Ernest in Love』に続き、春の大劇場公演『ME and MY GIRL』というパターンもありましたね。
あの時も、英国貴族コメディ ⇒ 英国貴族コメディでした。
似たような毛色の作品続きで、大丈夫だろうか…?
…と、客入りを含め、心配したのも束の間。
幕が上がれば、予想を超える魅力的な舞台作品と出会えました。
ミーマイは好きな作品ではありますが、ラストが微妙に消化不良だったんです。
「マイフェアレディ落ちかぁ…」と、ちょっとそこが物足りなくて。
ですが、ビル(明日海りお)とマリア叔母(仙名彩世)の別れの場面で、胸を打たれて…。
また、サリー(花乃まりあ)が、ビルを愛すればこそ、淑女へ変身する道を選んだ心情も、切々と伝わってきました。
2016年花組版を観て、ミーマイが感動作だと、初めて知りました…。
ミーマイは初めて宝塚大劇場で観た作品で、もともと忘れがたい作品ではありました。(1987年 月組)
2016年の花組ミーマイは、私の中で「今までにないミーマイ」となりました。
『ハンナのお花屋さん』も、『ポーの一族』も、きっと予想を超えてくれるはず。
明日海りお率いる今の花組は、それだけのポテンシャルを備えていると思います。