9月5日(火)宙組『神々の土地』新人公演を観てきました。
一言でいえば、「久々に・新人公演らしい新人公演を観たなぁ」と感じました。
良い意味で、学芸会というのかな。
これ、褒め言葉です。
誤解のないように申し上げると、キャスト陣は全員、好演していました。
なんと言っても、滑舌が良い。
本公演では、人によっては何言ってるのか判りづらい箇所もありましたが、新人公演を観て解明。
声の質も滑舌も良く、ノーストレスで鑑賞できました。
今回、新公学年の中でも下級生が抜擢を受け、主要人物を演じています。
歌唱だったり、ダンスだったり、芝居だったり、それぞれ上手で。
ほんっと、技術面ではハイレベルでした。
それなのに、何故?
何故、学芸会だと感じたのか?
それがまさに、上田久美子先生の作品の恐ろしさと申しますか…。
台詞を覚えて、上手に演じ、上手に歌う。
仮にそういう風に収めたら、とんでもなく薄っぺらになるでしょう。
宙組の新人公演は、懸命にもがいてる感が伝わってきました。
多分、もっと不器用でもいいくらい。
器用に、小綺麗にまとめてはいけない作品なんだ…と、改めて気づきました。
むしろ上手すぎたかもしれません、宙組の研7以下の皆さん。
無理にまとめなくてもいい。
とっ散らかって、苦しんだらいい。
その葛藤や慟哭が、多分きっと必要。
上田久美子先生の作品の深さを、改めて感じました。
そして、本役の凄さを改めて……痛いほど感じました。
では、駆け足で個別の感想。
宙組さん、良い若手が揃ってますね。
★瑠風 輝(98期・研6)
皇族・ドミトリー大公役(本役・朝夏まなと)
朝夏さん同様、すらりと長身でノーブル。
軍服も、ロングコートも似合う。
後ろ姿がカッコイイ。(←これ重要)
爽やかなイケメンボイスで、歌唱も伸びやか。
滑舌も良く、台詞も聴き取りやすい。
瑠風くんを筆頭に、台詞のある人はほぼ全員、声質も滑舌も良くて驚きました。宙組の未来は明るい。
ダンスシーンも素敵でした。
近衛隊の閲兵式の群舞は、ひたすらかっこよく。
イリナ(夢白あや)とのダンスは、夢のように美しく。
ディズニーの王子様と王女様のようでした。
★鷹翔千空(101期・研3)
貴族・フェリックス・ユスボフ役(本役・真風涼帆)
研3で2番手役に抜擢とは、期待されてますね。
男役声がまだ出来上がっていませんが、研3なら致し方なし。
これから伸びてくるんだろうな…と思わせる不安定な青さも、今なら充分、魅力のうち。
ラスト近くで、絡んだ相手(イリナの執事)が台詞をド忘れした事に気づいた鷹翔くん。
フェリックスが強引に執事を急かす事で、不自然でなく話を進めようとした舞台度胸に拍手。
★夢白あや(103期・研1)
若き未亡人・セルゲイ大公妃イリナ役(本役・伶美うらら)
研1でヒロイン格の役付とは、あなたは娘役版・天海祐希ですか?
とても綺麗な娘役さんで、期待されるのもわかるような。
芝居心もあり、伶美さんを忠実になぞりつつ、ちょっとした台詞のニュアンスを変えていました。
イリナの心情をより分かりやすく伝えられたと思います。
ただ、敢えて判りやすく言わず、水面下の気持ちを匂わせる事が肝要なのね、イリナは。
伶美さんの一枚上をいく演技力を改めて感じました。
でも、夢白さんの「気持ちを伝えよう」という姿勢と、自分なりの工夫は素晴らしいと思います。
イリナの心情を考え抜いたんだろうな…と思えました。
他の主要キャスト娘役陣に比べ、生硬さが感じられ、イリナ役には正直まだ少し早いかなとは思いました。
とはいえ、落ち着いた声の出し方や佇まいなど、努力の痕がみられます。
それに、背伸びする役を演じるからこその新人公演だと思うので、これはこれでアリかな。
2〜3年を待たずして、正統派美人の王道を行く娘役として活躍する事でしょう。
イリナ役ゆえ、歌唱の機会がなく、歌がどうなのか不明なのが心残り。
★天瀬はつひ(99期・研5)
ロマノフ家の長女・皇女オリガ役(本役・星風まどか)
娘役としての完成度が高いなぁ、と感じました。
銀橋を渡りながらの歌唱は、声が少しふるえ、緊張が伝わってきました。
それでも、充分よく通る可憐な歌声を聴かせてくれました。
★優希しおん(100期・研4)
政治活動家でジプシー酒場のダンサー・ソバール役(本役・桜木みなと)
ダンスがキレッキレ!
ジャンプは高く、滞空時間も長い。
スピーディで荒々しいのに、色香と華もある。
目ヂカラも強く、端正なのにワイルドで、すっごくカッコイイ。
背はそんなに高くないけど、大きく見えます。
存在感ありまくり、クールでソリッドな美形。
優希くんが舞台にいると、目が離せませんでした。
★星風まどか(100期・研4)
ジプシー酒場の歌手・ラッダ役(本役・瀬音リサ)
「この人、上手いし、大人っぽいなぁ。宙娘ちゃんは可愛い子だらけだけど、この子がNo. 1やな」
観終わって、新公キャストを確認したら……星風まどか。
メイクと発声をアダルトに変えていて、本公演のオリガとは別人。
オリガ役も上手くて可愛いんですが、ラッダ役の方が合ってるかも?…と思わせるほど素敵でした。
歌うま娘役にとって、力を存分に発揮できる役ですね。
本役のありさちゃんも、新公のまどかちゃんも、ラッダ役を大人っぽくコケティッシュに演じてます。
★秋奈るい(97期・研7)
ロマノフ王朝の皇帝・ニコライ二世役(本役・松風輝)
端正でノーブル、穏やかな人柄を感じさせる皇帝。
育ちの良さが滲み出ているハンサムさん。
長の期の代表としての挨拶は、言葉を選び、選び。
そのため、何度も詰まったり、言い換えたりしてましたが、それさえも淡々と穏やか。
そうか、秋奈さんの素の人柄がリンクしてるんですね。
★瑠依蒔世(97期・研7)
ロマノフ家を操る怪僧ラスプーチン役(本役・愛月ひかる)
基本的な動きは本役さんをなぞってますが、顔を上げると美形。
(本役も普段は美形ですが)
皇子アレクセイの背に手を添え、歩く足並はスマート。
ところどころ、ポロっと普段のイケメンが零れ出るような。
滑舌が良く、台詞が聞き取りやすいイケメンボイス。
いっそ、イケメン怪僧という役作りもアリかも?
もし悪魔が実在したら、きっと美形だと思うから。
美しいからこそ、たやすく人心を撹乱できるんじゃないかな。
以上、とりいそぎ感想でした。
いろんな意味で見応えのある新人公演でした。
なぜかチグハグで、混沌としてて、良い意味でまとまってない。
それでいいんです、それで。 大いなる伸び代を感じる、良い意味で学芸会みたいな新人公演。 青くさい魅力満載で、こういう新人公演、私は好きです。
なお、最もときめいた瞬間は、開演直前と終演直後。 入場または退場する朝夏さんを、拝見した時でした。
空色のお召し物がお似合いで、思わずうっとり。
他の宙組生達も可愛かったり、カッコ良かったり、20人ほどもいたでしょうか。
ただ、私は朝夏さんに魂抜かれかけたもので…。
うぅう……素敵すぎます、まぁ様……!
最後になりましたが、お声掛け下さったN様&N様のお友達様、ありがとうございました。