2021年8月7日(土)から宝塚大劇場で上演中・雪組『CITY HUNTER/Fire Fever』個別感想第三弾。
ネタバレを含みますので、「まだ知りたくない」場合は読まない方が良いかと。
それでは、まいります。
★朝美絢(95期・研13)
ミック・エンジェル役。
ミックはアメリカのナンバーワン・スイーパー。
冴羽獠のかつての相棒。
初代シティーハンターは獠&ミックでした。
朝美さん、二番手就任おめでとうございます!
大きな羽根を背負って大階段を降りてくる姿、まぶしく拝見しました。
この先、さらに重い羽根を背負うことになるのか?
それはまだ誰にも判りません。
ただ、私はその日が来ることを願っています。
朝美さんは人の目を惹き、向いた目をしっかりご自分に留めさせました。
それを繰り返し、押し上げられ、引き寄せた二番手羽根です。
芸能の世界では、人の注目を引き寄せるチカラほど大きなものはないでしょう。
ひとから愛され、求められる以上の武器はありません。
同時にそれは、移ろいやすく、儚いものと言われがちです。
ですが、人から求められる事は、とてつもなく強いパワーを秘めています。
その力を保持するため、様々な努力をされてきた事か。
努力が必ずしも報われるとは限りません。
それでも腐らず、努力を継続できるか。
それが突破口に繋がる可能性を高めると思います。
一見とても華やかな朝美さんですが、落ち着いた物腰から不断の覚悟を感じます。
…と語り始めると長びきましたが、本題に戻りましょう。
ミック・エンジェルの事は知りませんでした。
原作もアニメも見ていましたが、連載後期はちゃんと読んでなかったのね。
アニメに登場してなかったし。
…なので、私にとってのミックは、朝美絢のミックです。
アサミックはチャーミングですね。
例えばちょろっと移動する際、さりげなく志村けんのような歩き方を挿入。
志村けんはコントで、チャップリンの動きや映画のワンシーンを採り入れていました。
なので、正確には「チャップリンをデフォルメした志村けんの歩き方」ですが。
新宿の婆(沙月愛奈)との小芝居も毎回楽しそうで気になります。
微妙にずれてるコトワザも、するっと口にしてる感じですね。
カタコト日本語も、それっぽさとやり過ぎ感のギリギリラインを狙ってる感じ?
人懐っこさと、腹に一物もってる感じをうまーく表現しています。
「旧友のためにひと肌脱ぐ」んじゃなく、ちゃんと報酬つきの契約で協力するドライさがアメリカン。
それでも、なんとも言えぬ憎めなさ、温もりを感じるキャラクターになっています。
黒髪・金髪、どんな髪色も違和感なく似合い、日本人キャラの中で外国人を演じても、ちゃんとそれっぽく見える顔立ち。
私は常々、「柚香光は宝塚に入る為のビジュアルに生まれついた」と思ってきました。
朝美絢は「男ならジャニーズ、女なら宝塚に入る為のビジュアル」に生まれついたのでしょうね。
ショー『Fire Fever』では、幕開きから娘役を引き連れて登場。
二番手ならではの華々しさ。
それがまた似合うんだなぁ。
朝美さん単独の場もあります。
場を丸々任されるって、THE 二番手!ですよね。
モーツァルト作のオペラ『ドン・ジョバンニ』のパロディ。
ドン・ジョバンニは美男の貴公子。
年齢・人種・外見等にこだわらず、あらゆる女性を愛する博愛主義者。
実在の人物・カサノバを引き写したような男性…という見方もできるかも?
そういえば花組『CASANOVA』では、カサノバ(明日海りお)がモーツァルト(綺城あか理)に示唆を与え、完成したオペラが『ドン・ジョバンニ』でした。
(…という下りは、生田大和先生のフィクションですが)
多勢の娘役に囲まれた朝美絢は、キラキラパウダーを身にまとった第二のカサノバでした。(←そこ?)
いっそ、性別も気にせずに愛する博愛主義者として描くのもアリでは?
…と思ったり。
『CASANOVA』を再演するなら、朝美絢は似合いそうです。
明日海さんは明日海さんで、奇しくも今秋はモーツァルトになられますし。
不思議な符合ですね。
宮廷服姿が似合う朝美さんですが、ダルマも似合います。
そう、彩風咲奈以外の組子がダルマ姿で踊りまくる場でござる。
ヒラメちゃん(朝月希和)と同じ衣装で、咲ちゃんを取り合うあーさ。
不自然さやオカマ感がなくて、流石でした。
ただ、めっちゃ好戦的なんやけど。
男役スーツ祭でも、舞台中央でトップさんとサシで踊ったり。
挑みかかる2番手(朝美絢)
それをいなすトップ(彩風咲奈)
ワンツーの真剣勝負…!
萌える…!!
雪組ワンツーはタイプこそ違えど、ビジュアルレベル高い。
トップの咲ちゃんはスタイル良くてシュッと涼やか。
あーさは顔面偏差値が高い。
思わずハッと目を惹くエキゾティックな美貌。
さすが「左斜め下の人」で「黒髪の人」※
※ FNS歌謡祭に月組および雪組で出た時、SNSで話題になった話は、ヅカヲタ界ではあまりにも有名。
先天的美貌に恵まれ、音楽学校の成績も良かったあーさ。
…ですが、群雄割拠の95期生の為か、意外と苦労人。
あーさの場合、最初から用意された椅子ではなかった(と感じる)だけに、2番手羽根を背負う姿を見て「よくぞ、ここまで…」と胸熱に。
この先トップへの道が開かれるのか、どうか。
それは部外者にはわかりません。
ただ一つ確実なことは、トップになろうがなるまいが、タカラジェンヌ(の大多数)はいつか退団していきます。
特に男役は、退団後は男役姿を拝む機会はなくなる事がほとんどです。
今しかない今を大切に。
推せる贔屓との出会いを大切に。
それにしてもつくづく、朝美さんは華やかなジェンヌさんだと実感。
2番手として場を任され。
トップが先に捌けた場を任され。
そうやってセンターに立つ姿は発光していました。
あーさ、2番手昇格ほんとうにおめでとうございます。
∇次は若手男役の感想へつづく