1月1日の初日から連日、『ポーの一族』を観続けておりました。
正月休み明け、何事もなく社会復帰できるか、自分が心配です。
さて、キャストの詳細な感想では、ネタバレを含む可能性大です。
開幕したてなので、なるべく抽象的に…と努めますが、未見の方からすれば、ネタバレに感じるかもしれません。
まだ知りたくない方は、お読みになられませんよう。
日本漫画界の宝・萩尾望都。
数多の名作・佳作・問題作を生み出し、代表作は複数。
数々の代表作の中でも、代表作中の代表作が『ポーの一族』だと、私は思っています。
萩尾作品との出会いは『スターレッド』でした。
もう、めっちゃくちゃ好きでした。
『11人いる!』や『メッシュ』も忘れ難いです。
キャラクターとしては、オスカー・ライザー(トーマの心臓/11月のギムナジウム/訪問者)が一番好きかな♡
…ですが、萩尾望都の代表作といえば、『ポーの一族』でしょう。
私はそう思っています。
『ポーの一族』は萩尾望都ファンにとって、聖域に近い作品ではないかしら。
明日海さんはトップ就任前も、就任してからも、名作を数多く再演してきました。
「明日海に△△を演らせてみたい」という心の声が聞こえてくるよう。
その気持ちは、わかります。
新作であり、難関中の難関キャストである『ポーの一族』
よくぞ、これだけハマる演者が揃ったものだと驚きます。
特に、エドガー・アラン・メリーベル。
この三役は、主要キャストにして、少年少女。
宝塚では小柄な娘役や、若くて小柄な男役が、少年役を演じる事がありますが、それとて本当の意味では、少年に見えません。
余談ですが、雪組『エリザベート』初演の子ルドルフは、別の意味で少年とは感じられませんでした。
いえ、声は見事なボーイソプラノでした。
…が、あまりにも歌唱力が高すぎて。
DVDで拝見しましたが、思わず正座して聴き惚れました。
さすが、安蘭けい様……!
圧巻の、天使の歌声でした。
…おっと、閑話休題。
すでに成人しているタカラジェンヌが、2時間半に渡り、ナチュラルに少年少女に感じられ、尚且つ、魅力的に映ること。
なんと高いハードルでしょうか。
明日海りおの、エドガー。
柚香光の、アラン。
華優希の、メリーベル。
明日海りおのエドガーありきの宝塚版『ポーの一族』
同時に、柚香光のアラン、華優希のメリーベルという強力なカードが揃った事は、本当に本当に大きいと思います。
よくぞ、今、この花組に揃ってくれました。
シーラ(仙名彩世)、ボーツネル男爵(瀬戸かずや)、ジョン・クリフォード医師(鳳月杏)、バイク(水美舞斗)、老ハンナ(高翔みず希)ら、大人キャストのハマり具合・魅力もすごかった。
…という訳で、個別キャストの感想を書き連ねてみたいと思います。
まずは、『ポーの一族』という独特の世界を構築するにあたり、欠かせない存在である、『エドガーの疑似家族』から。
一応『疑似』と付けたものの、充分に本物の家族だと、私は感じました。
特に老ハンナとの絆は、呪わしくも、得難い情愛に満ちたものであったと思います。
★仙名彩世(94期・研10)
シーラ・ポーツネル男爵夫人役
正直なところ、原作のシーラの印象は薄め。
香盤発表当初、「トップ娘役に見合う役かな…?」と不安がよぎりました。
…が、蓋を開けてみたら、美しく優しく、熱く妖しいシーラが、そこにいました。
同時に、母性の温もりも感じられ、女性としての奥行きを感じさせるシーラ。
仙名彩世がシーラ役を演じた事で、「エドガーが仄かに憧れた」という(原作にはない)設定が、説得力を持ちました。
それぞれが緻密で気迫に満ちた舞台人である、明日海さんと仙名さん。
この2人が組むと、互いの表現がレベルアップするような気がします。
トップコンビが互いを高め合う事で、組全体のレベルが引き上がっていく好循環を生み出していると思います。
★瀬戸かずや(90期・研14)
フランク・ポーツネル男爵役
ダンディで頼もしい男爵は、家族(シーラ、エドガー、メリーベル)を守る気持ちが強く、強く厳しい父性の持ち主。
エドガーに対しては、大老ポーの後継者として、いずれ一族を率いる事も考え、家族や仲間を守る為にも、より厳格に接していた模様。
あきら君の持ち味を、遺憾なく発揮できる役ですね。
あきら君は以前から、ナチュラルに男性に見える(聴こえる)男役でしたが、ポーツネル男爵がここまでハマるとは。
エドガー(明日海りお)やメリーベル(華優希)と並んで、無理なく父親に見える瀬戸さん。
大人がしっかりと大人に見えてこそ、少年少女役もその年代に見える。
アラン(柚香光)と並び、エドガーと最も絡む男役が、ポーツネル男爵。
長身でダンディなビジュアルに、渋く低い声。
あきら君が男性的で、大きさを感じる存在であるほど、エドガーがよりリアルに少年に見えてきます。
シーラ(仙名彩世)との並びも、落ち着いた大人のカップルでありながら、華やぎもあります。
とてもお似合いで、夫婦として違和感なし。
揺るぎない一家の大黒柱であり、その気になれば、クリフォード医師(鳳月杏)とタラシ対決で張れそうなイケメン男爵です。
★高翔みず希(76期・研28)
凛とした一族の要の老ハンナ。
大老ポーが眠っている間、一族を取り仕切っています。
同時に優しく温かなおばあちゃんの顔をもち、殺害目的で森に捨てられたエドガーとメリーベルを助け、孫のように慈しんで育てます。
高翔さんの老ハンナは品があり、老婆役ながら美人。
背筋が伸び、毅然とした、同性として憧れる素敵な老婦人です。
メリーベル消滅の場面で現れ、軽々と抱き上げて連れ去る場面では、さすが男役!でした。
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