Quantcast
Channel: シエスタの庭
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2993

雪組『ひかりふる路』新公感想(叶ゆうり、永久輝せあ、星南、彩、諏訪、縣千)

$
0
0

雪組『ひかりふる路』新人公演のキャスト別感想です。

辛口な面もありますが、生徒さんへのエールを込めた感想です。
新公学年の生徒さんは、可能性の塊。
今後ますますの成長を期待しています。


* 叶ゆうり(97期・研7)ジョルジュ・ジャック・ダントン(本役・彩風咲奈)

『幕末太陽傳』新公では、貸本屋の金三(本役・鳳翔大)をコミカルに演じていた叶さん。
ダントン役、もんのすごく!良かった!です!
骨の髄までダントンでした。

ロベスピエール(綾凰華)とも、デムーラン(永久輝せあ)とも絡むダントン。
叶ダントンは、見た目ワイルド、中身は人情派。

綾マクシム(ロベスピエール)と袂を分かち、一度はパリを離れます。
…が、恐怖政治を懸念した永久輝カミーユ(デムーラン)の要請に応え、綾マクシムを説得すべく、パリの地へ。

叶ダントンと永久輝カミーユの再会は、銀橋の上で。
本当に嬉しそうに、がっちりタッグを組むんですよね。
奇しくも同期の二人、信頼感が溢れてくるよう。

対して、綾マクシムと叶ダントンは対照的。
綾マクシムは、ピリピリして疑心暗鬼の塊。
叶ダントンは、何とかして肚を割って話そう、距離を縮めようと腐心します。

信じたいけれど信じられず、解ってほしいのに解ってもらえず、苦しむ綾マクシム。
叶ダントンもまた、遮断されてもなお、何とかして綾マクシムの心の扉を1ミリでもこじ開けようと必死。

この時の必死の形相が、表面的にはどんどん能面のようになっていくんです。
薄皮一枚下には、壮絶な思いが巡っていると伝わってくる、爆発寸前の能面。
叶ダントンの痛ましい思いが、ビンビン伝わってきました。
このダントンがいるからこそ、彼を拒絶せざるを得ない綾マクシムの苦悩と焦燥がより際立つんですよね。

永久輝カミーユとの信頼関係。
綾マクシムとの対立関係(本心では互いを必要としながら)
叶ダントンは双方の表現に関して、己はもちろん、対峙する相手をも引き上げていく演技をしていました。
あくまでも私個人の感想ですが、少なくともこの二つの場は、本公演を超える勢いを感じました。
その鍵を握っていたのは、叶ダントンだったと思います。


* 永久輝せあ(97期・研7)カミーユ・デムーラン(本役・沙央くらま)

永久輝せあの役どころは、穏健派のジャーナリスト。
冷静かつ温かい目と心を持ち、恐怖政治へと走るロベスピエールの暴走を止めようと奔走します。

重めの物語世界で、明るい光を放つ人物。
永久輝さんの明朗さ・キラキラが活かされ、ハマり役だと感じました。
衣装もウィッグも黒いのですが、どこにいても光を放っていました。
自家発光してますよね、永久輝さんって。
停電になっても、大劇場をぐるりと照らしそうです。

長の期の筆頭という立場で、新光チームをまとめていたであろう永久輝せあ。
叶ゆうりと共に、雪組へ組替したばかりで新公初主演の綾凰華をしっかり支えていた様子も、印象に残っています。
面倒見が良いのでしょうね、きっと。(想像ですが…)


* 星南のぞみ(98期・研6)マノン・ロラン夫人(本役・彩凪翔)

本役は舞台に登場した瞬間から、女帝の風格を醸し出していました。
夏美よう演じるタレーランに押し負けない圧がありました。

星南さんは、美しい令嬢に留まります。
若々しく美しい…のは、彩凪さんも一緒。
声に落ち着きと重みを持たせる事で、かなり違ってくると思います。
発声は大事だと思います。
彩凪さんは女声で重みを持たせてますから、模倣までは無理でも、ある程度、寄せる事は可能ではないかと。

朝美絢の相手役・バウヒロインを射止めた幸運を、その先へ繋いでいく為にも、ロラン夫人の役作りは大きな課題であり、糧になると思います。


* 諏訪さき(99期・研5)

歌・ダンス・芝居と三拍子揃った諏訪さん。
『New Wave 雪』でも、月城かなと&永久輝せあに呑み込みの速さを褒められていました。

サン=ジュストの狂気と、ロベスピエールへの崇拝を、過不足なく演じていたと思います。
より狂気に重きを置いていたように感じました。
恐怖政治に取り憑かれたようになり、かつての同志を迷いなく粛正していくサン=ジュスト。
諏訪サン=ジュストの目……イッちゃってました。
怖かったです…。(←褒めてます)

何でも上手にこなせる諏訪さん。
下級生とは思えぬ職人芸を感じます。


* 彩みちる(99期・研5)ルノー夫人(本役・梨花ますみ)

今更ですが、みちるちゃんはお芝居が上手いですね。
老け役の演技も、難なくこなしていました。
課題は歌ですが、高い表現力でカバーするタイプですね。
まだまだ伸び代があるでしょう みちるちゃんに期待しています。


* 縣千(101期・研3)フィリップ・ル・バ(本役・永久輝せあ)

縣千が演じるル・バは、ロベスピエールと同じ会派(ジャコパン党)の議員。
縣くんは、爽やかな好青年が似合いますね。

本公演の男女で絡む群舞を、ル・バとしても踊っていました。
娘役さんの身体を両手で胸から腰へとなぞる振付は、ル・バの姿だと、よりエロティックに見えました。

鋤を担いで元気よく踊る農夫にも変身。
踊るの、本当に好きだよね。
研1からずっと、「そんなにジャンプして膝痛めない?」と心配になるほど高く跳ぶ縣くん。
本当に楽しそうなんですよね。
役柄以前に、舞台に立てる事が嬉しくて仕方ないんでしょうね。

縣くんの特質として、隣に立つ人を引き立てる効果をもってます。
縣くんはキラキラ系ではなく、むしろどっしり系。
組んだ娘役は間違いなく可憐に見えます。

そして今回、脇に回った永久輝さん…って、彼は自家発電タイプだから、縣ライトは不要。
ですが、隣に立つとバランスが良い。
背丈は同じ位ですが、互いのタイプが違いすぎるがゆえに、互いを引き立てあう効果がありますね。

研1の全国ツアーから、永久輝さんとはショーの場で組ませて頂いたり、何かとご一緒する事が多く、並んだ時の相性の良さは感じていました。

脇役同士ですし、これといった絡みもない役ながら、舞台上で近くに立ってると、バランスが取れてるなと。
鬘も衣裳も、永久輝さんが黒っぽく、縣くんが明るい色調だから、余計に。

永久輝さんは、今回の公演で新人公演を卒業。
そう遠くない未来、バウ公演で主演を務める事でしょう。
その時、永久輝さんを支える縣くんを見られますように。


にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2993

Trending Articles