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抜擢という名の試練

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2015のポスターに、珠城りょう君が月組二番手として登場。
この話題で沸いてましたね、金曜あたりから。

全国ツアー発表以来、ほぼ毎日、たまきちの事を考えない日はありませんでした。
私がたまきちの事を考えようと、たまきちに力添えできる訳じゃないんですが

誰かを応援するという事は、その人に仮託して、己の欠落感を補う作用もあると思っています。

私は明日海さんにドはまりして、「私は何を埋めようとしてるんだろう?」と考えました。
何がそんなに埋め難いのだろうか、と。
しかも、次々と浮気してるので、どんだけ深い欠落感やねん?…と思います。

とりあえず、美への憧れは強いかも。
容姿の美、心がけの美、所作の美などなど。
見ているだけで、恍惚とします。
そして、確かに欠落ポイントです、私の。

珠城りょう君に注目したのは、何故だったかなぁ…?
わりと純粋に見た目から入ったような。
明日海さんもそうでした。

実は中抜け期間中も、タカラジェンヌを見て、「うわぁ、綺麗」と惹きつけられた事は度々ありました。
それでも、本格的に戻るほどの吸引力を持っていた人とは、なかなか巡り会えず。

明日海さんは、一目見た瞬間からザワザワして、危険信号が点滅。
超久々の一目惚れでした。

珠城さんも、「この人の舞台を観たい」と強烈に思いました。
そして、お茶会初参加も、珠城さんでした。

私が惹かれる人って、わかりやすくアゲアゲ路線で、過酷な運命を受け容れ、乗り越えて開花した方が多いです、振り返れば。
天海祐希さん、明日海りおさん、珠城りょう君。

朝夏まなとさんも
「勿体ない事だと思うけれど、実力が伴わないのに抜擢される事が苦しかった」
と述懐されてましたね。

以上の方々は、アゲアゲ路線に乗せられ、過分とも言える抜擢を受け続けたのは事実でしょう。
同時に、与えられた機会を無駄にする事なく、力をつけて来られた方々だと思います。

珠城りょう君は今まさに、「抜擢」という熨斗をつけた「試練」に直面していると思います。

正式な二番手経験はなくとも、複数の主演経験があり、トップ娘役がサポートにつく等、朝夏まなとさんと条件面では一見して似ています。

似ていますが、実質はかなり異なります。
まず、朝夏さんはその時点でトップになってもおかしくない学年でした。

仮に、珠城さんが今トップになれば、誰しもが天海祐希さんの「性急な抜擢」を想起するでしょう。
みすみす大器を早期退団で手放す事になった、苦い事例を思い浮かべるでしょう。

それは、劇団関係者もわかっているはず。
それでも、抜擢せずにおれない引力があるのでしょう。

天海さんは80周年というメモリアルイヤーに宝塚の顔でいてほしかったのかな。
当時は気づかず、ボケーと観てましたが、今は「あぁ、そうか」と。

当面メモリアルなイヤーも無さそうなこの時期に、どんな焦る理由が?…とも思います。

同時に、珠城りょうをいずれ「宝塚の柱の一つとしたい」気持ちはわかります。
あんなどっしりして骨太で、なおかつ華もある男役は、稀少価値ですから。

そして、相手役を選ばないであろう男役だということ。
ここも重要だと思うのです、意外と。

隣に立つ娘役を可憐に見せるんです、珠城さんは。
体格はもちろん、彼の持ち味が、娘役を引き立てるんです。

以前にも、珠城さんを「宝塚の高倉健」「いぶし銀」と表現した事がありました。
宝塚の男役にいない持ち味ですよね、本当に。

渋いけれど、くすみはしない。
ちゃんとセンターが似合う華やぎもある。

朴訥で真面目な性格が滲み出てて、それゆえに殻を破れていない印象は受けます。
それだけに、殻を脱した時の爆発力は凄いでしょうね。
多分、他のどの男役とも被らない個性だと思います、彼の持ち味は。
(敢えて挙げるなら、縣千くんは珠城さんと似たテイストを感じますが)

珠城りょうは、後天的努力では如何ともし難いギフトを得た、選ばれし人だと思います。
ギフトは「神様からの贈り物」、すなわち「先天的才能」を指します。
宝塚の場合は「あらゆる身体的条件」と言い換えても良いかと思います。
それと「華」「オーラ」「存在感」といった空気感。

宝塚で男役として開花する為には、何はともあれ、身体条件が大前提。
すらりと背が高く、バランスが取れた頭身で、可能なら低音が響く声質であること。
他にも、細々とありますよね。
だからかな、タカラジェンヌってすれ違うだけで「あ、ジェンヌさんだ」と分かりますものね。
特に男役さん。

どんなに歌が上手くても、演技が巧みでも、宝塚で求められる基準の「美」に到達していなければ、振るい落とされる。

ここに一般的な精神論、善悪論などは通用しないと思います。
そもそも、そんな寝言いってたら、宝塚は百年続かなかったでしょう。

劇団の判断は、根幹の部分では分からなくもありません。
むしろ、その焦り具合に「正直者め…」と思う事もあります。
褒めてはいませんが、共感はできなくもないかな…という感じでしょうか。

宝塚歌劇は、商業演劇です。
しかも、方向性やターゲットが明瞭に定まっています。
それを、わざわざブレさせる筈がありません。

「凪七瑠海さんや美弥るりかさんが可哀想。あれだけ二番手扱いしておいて、5期も下の珠城りょうに抜かせるなんて」
…といった感情論は軽く無視するでしょう、劇団は。

人の気持ちは無視しすぎない方が、長期的に効率が良い経営ができると思うのですが。
難しいのかな、それは。
経営陣からすれば、タカラジェンヌは消耗品でしょうから。

消耗品扱いする事で、みすみす大器を早期退団へ追い込んだ。
そういった過去の経験が、あまり生きてませんが。

「ビジネスチャンスをフイにした」視点からアプローチしたら、事の重大さに気づくかも。
逸失利益を算出して、数字で見せたら、襟を正すかもしれませんね。

タカラジェンヌに限らず、人的資源を消耗品扱いするのは、多くの組織にいえる事です。
阪急は大企業ですし、企業に求められる責任の範疇は、おそらく守っているでしょう。

逆の見方をすれば、宝塚歌劇団は企業の一部門として、利益を上げねばならない。
その視点からいくと、個人の事情や感情をいちいち酌む方が珍しい、となりそうです。

一般的な企業では、人事権をもつ人なり部署なりが裁定したら、それに従うのみら。
ほとんどの人事は、一方的に決められ、通達されます。
そこに、個人の意見はまず通りません。

劇団はサービス業なので、顧客ニーズは無視できませんから、意見を伝える事は良いと思います。
影響を与える可能性もあります。

ただ、どんな判断も、根底は「利潤を追求する事」が基盤です。

「みやるり、かちゃが可哀想」
「たまきちも辛い」
そんな言葉、劇団には痛くも痒くもないでしょう。

「これだけ利益を生み出せる人材ですから、長く稼いでもらう為には、こうしては?」
というアプローチなら、聞く耳を持ってくれるかもしれません。

劇団の経営上層部は男性ばかりでしょうから、基本的に「感情でしかモノを見ない女子供」とメイン顧客層を舐めてる節があるかもしれませんね。

人間と感情は、切っても切り離せません。
そこを無視したら、痛い目を見る確率が高い。
そこを解っていない…わかっていても、ぶった切る時点で、女子供以下だと思いますが。

それに、大人の男性の方がよほど繊細で傷つきやすく、嫉妬深く、取扱注意の硝子細工な側面を持っていたりしますよね。
傷つきやすいからこそ、分厚いプロテクトを施し、気づかないふり、見て見ぬふりをするのかな。

…とはいえ、最終的には個人差に行き着くんですけどね。
それを言ったら、話が進まないか。

阪急電鉄という企業は、切り詰めるところはケチケチ切り詰めますが、掛けるところには思い切って投資する印象があります。
利用者には親切ですしね。
京阪神…特に北摂は、私鉄とJRの競争が熾烈なので、サービス向上には特に敏感なのだと思います。

電車の車体の装備から沿線の開発に渡るまで、きめ細やかにケアしてきた結果、阪急沿線は、人気が高いブランド地区となりました。
全部が全部じゃありませんが、その多くは閑静な住宅街で、瀟洒な街並と文教区として認識されています。

郊外といえば聞こえは良いけれど、要は片田舎。
そこへ電車を通し、洒落た家を次々と建てた。
田園調布は、阪急宝塚沿線の『雲雀丘花屋敷』をモデルに開発された事は、知る人ぞ知る話。

また、宝塚音楽学校は各種学校にも関わらず、関西では昔から「お嬢さま学校」としての側面もあります。

小林一三翁は音楽学校設立時、東京の芸術専門校と同時に、京阪神の高等女学校をモデルとしたそうです。
当時は、歌舞音曲といえば花柳界のイメージが強く、芸能は「きちんとした家庭の子女」から敬遠されました。
そこで、敢えて「良家の子女教育」を意識したようです。

ハイブランド化は、阪急が企業として生き残る手段として、あらゆる分野で活かされたんですね。

宝塚歌劇団は、企業の一部門。
資本主義経済の企業は、利益を生む為に存在しています。

30年以上存続できる企業は、日本では数バーセントに過ぎないそうです。
100年を超えるとなれば、確率はいか程のものでしょうか。

阪急電鉄は、100年以上存続している稀少な優良企業の一つです。

白鳥と似ていて、阪急ブランドは外から眺めると、優雅で上品。
とりわけ昔から、イメージ戦略に長けている企業だと思います。
(近づいてみると、シビアで野心的な香りが漂いますが)

過去には失策事例も少なからずありますが、 歌劇団の経営陣をそんなに愚かだと思いたくありません。
私たちには分からない、様々な要素が絡まっているのかもしれませんし。

努力ではどうにもならない事や不公平な事って、ありますよね。
夢を見せてくれるはずの宝塚でも、蓋を開ければ、理不尽としか思えない事が見えてくる。
その裏には、さらに見えない闇が広がっているのでしょうか。

外からは分からない事が多い。
それは承知しています。
ですが、敢えて申し上げたい。

阪急の顧客サービスは素晴らしい。
電車やデパート、その他諸々を利用していて、そう思います。

阪急グループの一部門・宝塚歌劇について、サービスしてくれるなら。
タカラジェンヌを、もっと大切に扱って頂きたい。

タカラジェンヌを通して、私たちはサービスを受けるのだから。
供給元のジェンヌのケアが、顧客へのサービス向上に直結する事に気づいて頂きたい。

タカラジェンヌの生活の質(QOL)を高める事が、阪急ブランドを更に上げる事に繋がるはず。
企業としての社会貢献の第一歩は、自社の社員を大切にすることだと思います。
(研6を境にタレント契約に切り替わるので、社員ではなく請負契約ジェンヌも多いのですが)

なお、宝塚歌劇団と阪急電鉄の関係性については、薮下哲司先生(甲南女子大学講師)の市民講座で聴講した内容を参考にさせて頂きました。
薮下先生、読んでらっしゃらないと思いますが、ありがとうございます。

余談ですが、本日はマリー・アントワネットの誕生日です。
アントワネット様を偲びつつ、今日も宝塚を想うのでした。



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