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2022年総括②私の好きな宝塚・芝居編1~5位

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2022年も押し迫ってきました。

なんせ12月31日の夜ですから。

あとわずかで2023年。

 

今年の上演を作品をランキング形式で振り返ってみよう、の続きです。

あと少しで去年ですけども。

 

例年、芝居は大劇場と別箱を分けていた微かな記憶が。

しかし今年は全部まとめてドン!で進めます。

 

基準は、わたしの印象に残った作品。

面白いなぁ、興味深い…と思ったり、琴線にふれた作品です。

 

それではまず、各組のラインナップをば。

 

※年をまたぐ作品は『宝塚大劇場での上演』が基点となっています。

 

 

花組(芝居)6作

『TOP HAT』

『冬霞の巴里』

巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』

『フィレンツェに燃える』

『殉情』帆純まひろ版

『殉情』一之瀬航季版

 

花組(ショー)2作

『Fashionable Empire』大劇場版

『Fashionable Empire』全国ツアー版

 

月組(芝居)5作

『今夜、ロマンス劇場で』

『ブエノスアイレスの風』

『グレート・ギャツビー』

『ブラック・ジャック危険な賭け』

『ELPIDIO』

 

月組(ショー、コンサート)3作

『FULL SWING!』大劇場版

『Rain on Neptune』

『FULL SWING!』全国ツアー版

 

雪組(芝居)4作

『Sweet Little Rock 'n' Roll』

『夢介千両みやげ』

『心中・恋の大和路』

『蒼穹の昴』

 

雪組(ショー、ミュージックサロン)4作

『Sensational!!』

『ODYSSEY』

『La Lumière〜朝の月のように〜』

『朝月希和サヨナラショー』

 

星組(芝居)6作

『王家に捧ぐ歌』

『ザ・ジェントル・ライアー~英国的、紳士と淑女のゲーム~』

『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(midnight girl friend)-』

『モンテ・クリスト伯』

『ベアタ・ベアトリクス』

『ディミトリ-曙光に散る、紫の花-』

 

星組(ショー)3作

『Gran Cantante!!』大劇場版

『Gran Cantante!!』全国ツアー版

『JAGUAR BEAT』

 

宙組(芝居)3作

『NEVER SAY GOODBYE』

『カルト・ワイン』

『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』

 

宙組(ショー、コンサート)2作

『FLY WITH ME』

『Capricciosa!!』

 

 

…以上から、とりわけ印象に残った作品をピックアップ。

 

基準は、出来不出来ではありませぬ。

私にとって印象に残ったり、琴線にふれた作品です。

 

 

5位 花組『巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~』

2022/06/04~09/04

作・演出…生田大和

主演…柚香光(95期・研14)

ヒロイン…星風まどか(100期・研9)

 

花組は2022年唯一の大劇場作品。

柚香光のピアノ生演奏が話題になりました。

吹替分も含め、れいちゃんの演奏シーンのかっこいいこと!

 

少年リストを演じた美空真瑠(105期・研4)の演奏シーンは吹替ですが、運指は完璧。

実際に弾いてるようにしか見えませんでした。

 

柚香と永久輝せあ(97期・研12)の濡れ場も見どころ。

冒頭でやってくれます、生田先生。

あれは見逃せませんよね!

遅刻防止にも良いかもしれません。

(公共交通の遅延の場合は致し方ありませんが)

 

芸術家仲間たちが、ジョルジュ・サンド(永久輝)の屋根裏部屋に集う場も見どころ。

熱い芸術談義、政治談議を戦わせていたんでしょうなぁ。

楽しそう…!

 

もちろん楽しいだけでなく、苦悩も抱えている訳ですが。

ショパン(水美舞斗/95期・研14)は才能はあっても病気がちだし。

リストはショパンの才能に嫉妬してるし。

 

リストと駈け落ちしたマリー(星風)への複雑な思いを抱えるサンド(永久輝)

サンドとリストは野心家同士。

男女の性愛のみならず、同志愛といった面でも結びついていた二人。

それがマリーの影響で、都会や成功への執着を捨てたリスト。

いわば肉食派がベジタリアンに急転直下の宗旨替え。

サンドからすれば、「恋は盲目」状態にしか見えなかったかと。

 

「マリーこそ、僕を理解してくれる」とすがったリスト。

「私こそ、リストを理解できる」と信じていたサンド。

 

己をわかってほしい欲望。

そんな魂の孤独を描こうとしたドラマでした。

 

幸か不幸か、出演者がキラキラ眩しすぎて、そちらに気を取られがちでしたが。

少なくとも、私はそうでした…(懺悔)

 

柚香光と星風まどか大劇場2作目とは思えぬほど、息ぴったり。

お互いに再婚同士(←言い方)とは思えぬほど。

前パートナーの影も感じぬほど。

お互いに最初から、この人と組んでたのかな?って錯覚するほど。

 

それは宙組の真風涼帆&潤花コンビにも当てはまるのですが。

それぞれ、より良き伴侶と添えて良かったです。

 

 

4位 宙組『カルト・ワイン』

2022/06/17~07/07(中止7/5~7)
作・演出…栗田優香 

主演…桜木みなと(95期・研14)

ヒロイン…春乃さくら(102期・研7) 

 

新進気鋭の演出家・栗田優香先生。

先ごろ、レビュー作品での大劇場デビューが発表されました。

 

エンターティンメント性が高く、ストレスフリーに楽しめる作品。

それでいて、人の心の奥深くを覗かせる一面も。

スピード感とライトさがありながら、濃密な世界観を描き出します。

 

上田久美子先生がそうだったように、演出家の名前で客を呼べる作家に早くもなられているかと。

宝塚の宝になるであろう作家であり、演出家のお一人だと思っています。

 

生きる為に、そして身近な人々の為に必死に生きた青年。

それがいつしか犯罪へと繋がっていき…。

 

生きる上での致し方なさ、何とも言えぬ矛盾を抱え、流されていくシエロ(桜木)

流されながらも踏ん張り、犯罪者でありながら魅力を増していく。

 

人間の描き方が味わい深く、見応えがありました。

それは主人公のみならず、脇を固めるキャラクターも。

憎めないというか、人間としての愛しさを感じる人物が多かった印象。

栗田先生の「人」を見つめる視線の温かさを感じます。

 

 

3位 月組『今夜、ロマンス劇場で』

2022/01/01~03/27

原作…映画『今夜、ロマンス劇場で』2018フジテレビ、ホリプロ、電通、KDDI

脚本・演出…小柳奈穂子

主演…月城かなと(95期・研14)

ヒロイン…海乃美月(97期・研12)

 

映像と舞台を見事に融合。

色彩を効果的に活用し、胸を打つラストへと結びつけました。

 

まさか、まさか映像をあんな風に現実化できるとは。

映画に忠実なラストを再現するとは。

 

映画より登場人物をふやすため、オリジナルキャラクターや設定も投入。

大蛇丸と従者(狭霧、雨霧)など、笑いのツボでしたなあ。

 

現代のおとぎ話のような設定は、宝塚にぴったり。

ただ、映像の中から飛び出してくる表現や、白黒と天然色の世界の描き分けなど、課題も山積。

 

それらをクリアした上で、幻想と現実を融合。

三次元ならではの迫力で魅せてくれました。

 

月城かなと、鳳月杏らを始めとした、キャラクターの魅力をふくらませる芝居上手が揃っていた事も勝因かと。

 

宝塚との親和性が高い作品ですが、舞台化が難しい設定でもあったと思います。

美しく切ない夢の世界を三次元に構築した演出家、演者、スタッフの皆さんに拍手。

 

そして主演の月城かなとさん。

12月31日、お誕生日おめでとうございます。

 

 

2位 星組『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~

2022/11/12~2023/02/12

原作…並木陽『斜陽の国のルスダン』

脚本・演出…生田大和

主演…礼真琴(95期・研14)

ヒロイン…舞空瞳(102期・研7)

 

この話は、良い意味でラストが宝塚的でありません。

死んでも、天国や幻影で再会できるとか、そういう描写はない。

死ねば、もう会えることはない。

どんなに思っていても。

 

人は間違えるし、失敗するし、後悔する。

ただ、生きている間なら、やり直しはできるはず。

そういう示唆も与えてくれる物語だと思います。

 

この作品は、これから東京で上演されます。

一人でも多くの方々に観てみて頂きたいなと。

 

本作の見所のひとつは『ダンス』

 

ジョージアン・ダンスも素晴らしい迫力。

主に戦いの場で踊られます。

 

ルスダン(舞空)とディミトリ(礼)が結婚式で踊るカルトゥリも。

足さばきが独特なダンス。

 

演技面でも、主人公ディミトリは受けの演技が多く、耐える役。

美しさ、儚さが魅力でもある。

 

女王となるルスダン(舞空)は傷つきながら、大人の女性として成長していく様が美しい。

 

ラスト近くで、ルスダンと家臣アヴァク(暁千星)の対話がありますが、これが…!

思い出すだけで涙腺決壊。

 

本作は泣けます。

泣けるから感動作とは申しません。

そして、決してお涙頂戴物ではありません。

 

ディミトリを探し回ったのち、やつれたルスダンは去っていきます。

肩を落とし、足を引きずって。

 

時間は戻らないし、悔いも消えない。

天国で再会するといったカタルシスはありません。

 

しかし、救いがないとは思いません。

むしろ悔恨が深ければこそ、生きている価値や、生きているから出来ることを考える。

 

疑うだけでなく、話し合う。確かめ合う。伝え合う。

そんな風に「生きて行く上での働きかけ」について考えさせられます。

 

勇気とは何か。

 

それは一歩を踏み出してみること。

一声、かけてみること。

 

自分から、始めてみること。

 

 

1位 花組『冬霞の巴里

2022/03/25~04/14

作・演出…指田珠子

主演…永久輝せあ(97期・研12)

ヒロイン…星空美咲(105期・研4)

 

指田珠子先生の演出家デビュー作を観たときの衝撃を、私は忘れません。

魂が身体から抜け出し、劇場内を浮遊しました。

 

一幕がおわり、魂が身体に戻って来ても夢うつつ。

あんなにワクワクして、二幕が楽しみでたまらない幕間は初めて。

 

幽玄でミステリアスな『龍の宮物語』

耽美な心理サスペンス『冬霞の巴里』

上記2作と振り幅大きすぎる『立ち飲み屋物語』※

 

※天寿光希ミュージック・パフォーマンス『ten∞ten TIME』のコーナー企画

 龍の宮物語パロディだが、小池修一郎先生パロでもある。

 

指田先生が紡ぎだす世界観が好きすぎてツライ…!

(立ち飲み屋物語も含めて)←ギャップ萌え

 

指田珠子私設FCがあれば、入会したい。

(そんなものはない)←知ってる

 

指田先生が退団したら泣きます。

(理事めざして下さい)←長くいて下さい

 

…はっ。

つい、指田先生への愛が溢れ出してしもた…!

 

『龍の宮物語』が印象的すぎて、あれを超えるんは難しいよなぁ…

 

…と思っていたのに!

裏切られましたーーー!!

嬉しい裏切りですがなーーー!!

 

『冬霞の巴里』は姉弟がタッグを組む復讐譚。

 

幼い頃の記憶と印象を抱いたまま、復讐心に囚われたオクターヴ(永久輝)

彼を全肯定する姉・アンブル(星空)

父を殺した叔父・ギョーム(飛龍つかさ)

ギョームと再婚し、子まで成した母・クロエ(紫門ゆりや)

昔の記憶に登場する、優しく綺麗なイネス(琴美くらら)

 

家族・身内といった濃密な関係性の中でひしめく疑心暗鬼。

その中で、寄り添い続ける姉弟。

 

亡父も、叔父も、母も、もう一人の亡き姉も。

それぞれ、幼かった姉弟が思いもよらぬ葛藤を抱えていました。

 

正義だと信じていたものが覆され、何を信じたらいいか判らない…。

 

姉弟の絆は最後まで強いのですが、この二人の関係性こそが最大の歪み。

互いにそれを知りながら、敢えて蓋をして生きて行く。

どうあっても失いたくないのでしょう、お互いに。

 

永久輝と星空は、学年も実年齢も永久輝の方が大分上です。

おそらく8歳~9歳位は違うかと。(すみれコードごめんなさい)

 

それでも、星空は(2~3歳上の)姉に感じられました。

星空の芯の強さ・不器用さが、必死で弟を守ろうとする姿勢に通じるかと。

 

永久輝の、星空を見上げる目がまた…雨の中の仔犬のような瞳で。

庇護欲をそそると申しましょうか。

永久輝の「弟」感、「迷える仔犬」感が、年下感を強めました。

 

互いを誰よりも大切に想ってきた姉と弟。

そんな二人が、これからも秘密を抱え、手を携えて生きていくんですね…。

 

ラスト、二人でいずこへともなく去っていく姉弟の背中が焼きついています。

沁みる余韻でした。

 

そういえば、今日は大晦日。

『冬霞の巴里』のクライマックスも大みそかでした。

 

本作は男役・娘役ともに歌唱面でもレベルが高かった。

ダンスや演技のクオリティも同じく。

 

そして、真ん中に立つ主演(永久輝)とヒロイン(星空)の華とビジュアル。

それでいて舞台技術も高い、奇跡の主演コンビ。

 

下級生比率が高く、少人数とは思えぬほど、あらゆる面でクオリティと満足度が高い舞台でした。

 

 

…以上、2022年芝居ランキング(シエスタ編)

 

1位 冬霞の巴里

2位 ディミトリ~曙光に散る、紫の花~

3位 今夜、ロマンス劇場で

4位 カルト・ワイン

5位 巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~

6位 めぐり会いは再び next generation

7位 Sweet Little Rock 'n' Roll

8位 ベアタ・ベアトリクス

9位 HiGH&LOW-THE PREQUEL-

10位 殉情

 

演出家別だと、

小柳奈穂子 2作(ロマ劇、めぐり会い)

生田大和 2作(ディミトリ、リスト)

中村暁 1作(R&R)

野口幸作 1作(ハイロー)

指田珠子 1作(冬霞の巴里)

栗田優香 1作(カルトワイン)

竹田悠一郎 1作(殉情)

熊倉飛鳥 1作(ベアベア)

 

こうして見てみると、若手の演出家作品にツボを突かれやすい傾向が。

それは自覚していましたが。

特に女性演出家。

観ながら、声なき声で「…ああぁ、くうぅぅ~~!」

沁みます…!!

 

今年は谷貴矢先生の作品、漏れましたなぁ。

一方的にヲタク仲間だと思ってて、すみません。

谷先生はインテリ系のヲタクなので、東大王クイズ出れる層かと。

 

2幕物大作(ネバセイ、ギャツビー、蒼穹の昴)が入ってない事も、私の特長ですね。

それは単純に好みの問題でしょうなぁ。

登場人物や作者に共感できるかどうか、も関係するかもしれません。

 

『殉情』は共感できないんですが、演者の表現力に引っ張られた感。

帆純くんの力技に負けました。

 

上田久美子先生は「宝塚は作品より演者で観る傾向大」みたいな事を仰っていました。

 

たしかに駄作でも、出演者みたさに頑張って通うことはあります。

ですが、作家や作品のチカラは大きいと感じています。

 

実際に、ウエクミ先生の退団を大きな損失だと惜しむ宝塚ファンは多いんですから。

いつかまた、宝塚で作品を発表して下さいね。

首をキリンにしてお待ちしています。

 

おやま、最後はくーみん先生へのラブコールになってしもたがね。

 

どうぞ良いお年をお迎えください。

 

∇2023年も宝塚♡

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