Quantcast
Channel: シエスタの庭
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2993

花組『冬霞の巴里』観劇感想⑥星空美咲

$
0
0

2022年3月25日(金)27日(日)花組『冬霞の巴里』を観劇しました。

見応え、聴き応えのある舞台でした。

 

永久輝さんに続き、キャスト別感想。

ネタバレも含まれますので、まだ知りたくない方は読まれない方がいいかも。

 

 

 

 

 

★星空美咲(105期・研3)

 

オクターヴ(永久輝せあ)の姉・アンブル。

父の自死に不審を抱き、叔父と母への復讐を誓いあう姉弟。

 

アンブルは歌手として舞台に立ちながら、観客として訪れたある男と接触。

その男は、父殺しに加担した疑惑が濃厚な成金ブルジョワ。

 

父の為…というより弟の為、愛嬌をふりまき、男の気を惹くアンブル。

 

幼くして父を亡くし、母から冷遇される弟・オクターヴ。

 

少女時代からアンブルは弟に寄り添い、精一杯の愛を注ぎました。

 

成人後も、より深い愛情をオクターヴへ注ぎ続けるアンブル。

 

アンブルにとって復讐は、オクターヴと繋がり続けるための手段・口実かもしれません。

 

オクターヴもまた、そうなのでは…と。

互いに結託することで、一緒にいられるから。

 

少年時代のオクターヴは「叔父と母の企み」を耳にしても、それを認めようとしませんでした。

 

少年オクターヴにとって、ギョーム(飛龍つかさ)は優しい叔父。

 

回想の中のクロエ(紫門ゆりや)も、オクターヴの誕生会を開いてくれました。

 

同時に、クロエを「己に触れてくれない、冷たい母親」として思い出すオクターヴ。

そんな時はいつも、アンブルが抱きしめてくれました…。

 

少女時代からずっと、オクターヴの姉であり、母で在り続けたアンブル。

深い愛情を注ぎ続けた包容力。

 

歳が近く、まだ若いアンブルは、オクターヴの真意を図りかね、感情的になる事も。

そうだとしても、決してオクターヴを見捨てず、常に選択肢の最優先に置きます。

 

母性愛もさることながら、枠を超えた深い愛と慈しみと情熱を備えたアンブル。

「まだ未成熟ながら、愛情深い女性」像を、瑞々しく骨太に演じていたと思います。

 

骨太というと男性的に感じるかもしれませんね。

ですが、母や姉としての強さは大地や太陽にも喩えられますので。

天照大神も姉でしたよね。

 

オクターヴとアンブルは「似てない姉弟」設定。

輪郭や顔立ちは確かに似ていません。

ですが、二人はよく似ています。

 

舞台上で放つ圧倒的な華。

美の競演。

 

オクターヴとアンブルが並ぶと、神々しささえ感じます。

 

造形美はもちろんですが、空気感でしょうか。

二人に通じるものが、確かにそこに在ったかと。

 

「あぁ、姉弟なんだな」という不思議な説得力に満ちていました。

 

97期と105期、8年の学年差がある永久輝と星空。

実年齢もほぼ同じくらい離れている事でしょう。

 

しかし、ちゃんと姉と弟に感じられました。

2歳差くらいのね。

何の不自然さもなく、フィットしていました。

 

星空美咲は可愛らしい娘役ですが、おそらく心身は強靭なはず。

研2の頃から、無茶振りに次ぐ無茶振りに応えてきました。

しかも、予想を大きく上回る形で。

 

本作でも、期待を上回る役者ぶり、歌い手ぶり、踊り手ぶり。

 

オリジナル作品の楽曲は、生徒の音域に合わせて調整可能。

それゆえ、娘役も地声で歌える曲が多かったりします。

 

…が、しかし。

 

本作で星空に振られた楽曲は、高音祭り。

転調もあり、地声からファルセットへの切替も。

 

星空はなかなかの難曲を、豊かな声量で歌い切りました。

歌える生徒でしたが、一段とパワーアップ。

 

高音をクリアに歌い上げられる娘役は貴重。

花組なら、音くり寿、咲乃深音、若草萌香が浮かびます。

 

そこに星空美咲が加わり、戦力増強。

愛蘭みこも粗削りながら、充分期待できそう。

 

ダンスもかっこいい。

美咲ちゃんのダンスは、日本刀がしなるよう。

 

ダンスに限らず、黙って立ってると武士の風情を感じます。

アンブルを演じるにあたり、持ち前の芯の強さが役立っていそう。

 

フィナーレでは、希波らいと、次いで永久輝せあと組んで踊りました。

希波くんとも楽しそうに踊ってました。

 

永久輝さんとのデュエットダンスは美の競演・おかわり。

空気感がしっくり合う二人でした。

 

永久輝せあ First Photo Book に美咲ちゃんも呼んでほしかった…!

きっと似合っていたことでしょう。

 

『冬霞の巴里』は永久輝せあの代表作になるでしょう。

同時に、星空美咲にとってもそうだろうと。

 

姉弟役ですが、アンブルは確かにヒロインでした。

 

恋愛要素をほぼ除しながら、こんなにも切なく狂おしく ときめくものかと。

 

表現力の幅が広がり、柔らかさと厚みを感じる美咲ちゃん。

改めて、お誕生日(3/25初日)おめでとうございました。

 

∇実質ヒロイン・星空美咲

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2993

Trending Articles