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Channel: シエスタの庭
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進化する明日海りお『マドモアゼル・モーツァルト』

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来たわ…エリオ…!


…じゃなくて、ミリオ様…!


ここはコルドバ?

いいえ、ウィーンよ♡

(正確には池袋東口)


2021年10月22日(金)東京建物ブリリアホールにて『マドモアゼル・モーツァルト』を観劇しました。


今回はチケット抽選運が良かったにも関わらず、当初予定より観劇回数を減らさざるを得ず。


ブログを書く頻度が低下気味なのも然り。


しかし、そんなの私だけじゃない。

皆さん、それぞれお忙しいですよね。


…と言いつつ、博多も東京も来とるがな。

多分、観ない方が保たない。
観るから、がんばれる。

これぞ『好き』の効果ですね。

明日海さん、好きだーーー!!

…という訳で、『マドモアゼル・モーツァルト』初見の感想です。

これは回数観たいやつですね。

リピートしたいやつだ。


明日海さんが好きだからってのもあるけど、作品自体とカンパニーが興味深いです。


この話はジェンダーが大きな課題として提起されています。


観てて、幼少期に抱いた疑問を思い出しました。


2歳頃から、映画評論家・淀川長治さんのファンでした。


淀川さんを見る為だけに、日曜洋画劇場の最初と最後だけ起こしてもらってたほどファンでした。


私は中学に上がるまで午後8時に寝てましたが、日曜洋画劇場だけは別。


いつしか、映画も見るようになりました。

映画館も含めて。


…で、ある疑問を抱くようになりました。


なぜ恋をするのは男女同士だけなんだろう?と。


のちに同性愛という概念を知り、なるほどと思うと同時に、「なぜ同性だけが対象なんだろう?」と新たな疑問が。


その人だから。

その魂だから。

その個性だから。


その人に惹かれるんじゃないの?


性別で切り分ける事が不思議だなぁと。


4歳位から抱き始めた疑問を、超久々に思い出しました。


「変わってる」と言われ続けた半生ですが、当時の自分と出会ったら「何者?」とビビるかも。


ビビるなんて、世間のスタンダードに呑み込まれて来たのね、私。


小さい子がそんな事を考えるなんて、という偏見もあるやろな。

自分の事なのにね。



今後は『個』に焦点を当てた発想がスタンダードになっていくでしょう。


自分にとっての普通や当たり前は、他者とのそれとは違う。


それが普通だと思える時代になっていくはず。



さて、モーツァルトです。


昨夜、『マドモアゼル・モーツァルト』原作本を買い求め、新幹線で読みました。


言い伝えられているモーツァルトの特徴を取り入れた人物設定や、物事への反応。


楽しく興味深く、拝読しました。


舞台では端折ったり、変えたりしてる箇所もありました。


原作も、舞台も、モーツァルトという人物に翻弄されます。


「性別を偽っている事」に起因している…と描かれているし、確かにそれはある。


でも、それだけじゃない。


才能や個性など、彼(彼女)が放つ独自の魅力に惹かれるから。


純粋な魂に惹きつけられるから。


それが否応なく伝わってきました。


原作と舞台では、多少の変更や端折りがありますが、モーツァルトの魅力はどちらも鮮烈。


明日海りおという演者を得て、生き生きとしたヴォルフガング(エリーザ)が生まれました。


明日海さんの起用は大成功ですね。


おそらく、普通の女優さんなら、まず体型からして「女性の男装」になるでしょう。


明日海ヴォルフガングは、幼い頃から男装してきて、ナチュラルにフィットしてる感がありました。


体型も華奢ながら女性女性せず、後ろ姿に青少年の香りが漂います。


特にお尻が…男役といえど、ここまで絞れる?と驚きます。


瀬戸かずやと明日海りおのみが到達できた境地かと。


退団後も『ポーの一族』や『マドモアゼル・モーツァルト』の為にキープしてたのですね。



モーツァルトは軽やかなキャラクターとして描かれる事が多く、舞台ではそれを動きで体現することになります。


明日海ヴォルフガングは羽のように軽やか。


一足早く観劇した妹が「重力を感じない」と言ってましたが、確かに。


役者さん達が移動するたび、舞台の床が軋みます。

(それは普通、そういうものだから)


でも、明日海さんはどれだけ動いても、音がしません。


妖精さん?

妖精さんなのか?!


モーツァルトは天から降ってくる羽ペンを駆使して曲を書きますが、彼自身が羽のよう。


確かにそこに存在しているのに、どこか異次元にいるような。


それでいてリアルな感情が…喜びが、哀しみが、痛みが伝わってきます。


幻想と現実の境界線にいるような、不思議な存在感。


ご存知の通り、モーツァルトは有名であると同時に、謎も多い人物です。


共同墓穴に葬られた為、死体は特定できません。


その為、死因は科学鑑定できず、推測の域を出ない模様。

暗殺疑惑もありますよね。


明日海さんは謎めいたモーツァルトを、軽やかに愛らしく、悩ましく狂おしく体現していました。



脇を固めた役者陣は、アンサンブルに至るまで拍手もの!


『ポーの一族』でも見たお顔があったような。

確実には言い切れないのですが。


サリエリ、レオボルド、シカネーダー、フランツ、カテリーナ等、メインキャストはじめ、出てくれてありがとうの気持ちです。


父親・レオボルド(戸井勝海)の低音ボイス、シビレました。


カテリーナ(石田ニコル)は華やかで、プリマドンナの説得力ありあり。


サリエリ(平方元基)と明日海さんの体格差よ…!


シカネーダー(古屋敬多)は the 芸達者。


フランツ(鈴木勝吾)は手堅い職人の技。



そして、コンスタンツェ(華優希)


予想を上回る好演でした。


芝居は全く心配してなかったけど、歌。

大丈夫か?…と気を揉んでいましたが。


大丈夫でした。


アルトの音域で、無理なくのびのび歌っていました。


宝塚の娘役はファルセットですからね…。

大変だったと思います。


宝塚のトップコンビ時代とは異なる空気感でしたよ。

新鮮で、呼吸も合ってて。


宝塚時代の焼き直しではない、新たなみりはな。



作中カサノバの話が出て来て、ププッと心の中で笑いつつ。


でも、また異なる作品世界でしたよ。


明日海さんの男役発声は健在だし、ダンスも健在。


ヴォルフガングは女性が演じる前提だから、歌は女性の音域です。


歌ってる時の明日海さんは、エリザベート・ガラコンのシシィバージョンに近いかも。


歌える音域を広げている途上なのでしょうね。


歌唱は、上演期間中に更にバージョンアップして来ると思われます。


男役の発声の方が、ピタッと来るでしょうね、まだまだ。

声の伸びが段違い。


…とはいえ、男役を引っ張ってる感じではなくて。


男役とは確実に違うんです。


男子として育ってきた…生きてきた、ヴォルフガングでした。


一言でいえば、『明日海りおの進化形』


宝塚退団後も変化・進化・深化が止まらない明日海りお。


これ、円盤化したら良いのに…。


映像を残さないなんて、本当に勿体ない。


著作権の問題なのでしょうが、ホンマ勿体ない。


…無理なものは無理なのでしょうね。


明日海さんはじめ、今回のキャストでの上演を感謝いたします。


演出の小林香さんはじめ、スタッフの皆様にも感謝しかありません。


▽素晴らしい舞台をありがとう…!

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