2021年10月12日(火)星組『柳生忍法帖』新人公演の観劇感想つづきです。
★碧海さりお(101期・研7)
芦名銅伯/天海大僧正(本役:愛月ひかる)
予想以上の芸達者ぶりを披露。
歌・芝居はもちろん、メイクも洗練されていました。
滑舌が良く、声量豊か。
台詞は聴き取りやすく、歌も聴かせてくれました。
芦名銅伯、天海とも、安定感がありました。
前作『ロミオとジュリエット』は新人公演がなく残念でした。
…が、本公演で「愛」を演じたさりお君。
表情も動きもまろやかで、たおやかな愛でした。
その包容力を男性的に転換させた『柳生忍法帖』の芦名銅伯。
存在感と、場を包み込むパワー。
長の期としての挨拶もしっかり務めたさりお君。
主演を支えるというより、後見人のようなどっしり感がありました。
★咲城けい(102期・研6)
漆戸虹七郎(本役:瀬央ゆりあ)
咲城くんの隠れファンは多いと思います。
咲城くん良いなと思ってる人、多いと思います。
『エル・アルコンー鷹ー』※でティリアン(礼真琴)の忠実な部下・ニコラスを演じた咲城くん。
魅力的だったよね…!
『エル・アルコン』は凝縮しすぎな感があるものの、演じる星組生がめっちゃ魅力的な作品でした。
齋藤吉正先生の原作愛も感じました。
原作を愛しすぎて、あれもこれも外せない、切れないだろうなと。
大野拓史先生の『柳生忍法帖』もそうなんでしょうね。
原作愛ゆえのエピソード詰め込みや、宝塚を意識するが故の毒抜きなど、大野先生の配慮を感じまくりました。
咲城くんに話を戻すと、彼の魅力の一つがビジュアル。
身長はさほど高くありませんが、顔立ちがスッキリ整い、全体的に the 美少年。
美貌はタカラジェンヌにとって基本であり(容姿端麗が受験条件)、最強の武器。
ニコラスの時も思ったけど、おそらく誰もが好感を持つ、端正な顔立ちですね。
クールビューティ系で。
小柄でも子供っぽさが感じられないのは、涼しげな風情のなせるワザかと。
発声はじめ、あらゆる面で変な癖がなく、サラッとしてる咲城くん。
…ただ、漆戸役はニコラスほど印象に残らなかったのね。
何故だろう?
咲城くんの強み(好感度の高さ)が、漆戸の個性(嫌な奴)を爽やかに消臭したのかな?
好感度高めの生徒が、悪役の中でも中心人物を演じるって、本役さんと一緒ですね。
咲城くんは衣装や立ち位置で悪役と分かるけど、悪が持つ強烈なアクは感じられず。
それは宝塚向けに加工された脚本ゆえで、咲城くんのせいじゃないのですが。
いずれ本公演でも大きな役を担う人だと思うので、この機会に憎まれ役の研究をしてみるのも良さそうです。
咲城くんの個性やビジュアルは、万人受けすると思います。
ますますファンも増えるでしょう。
次の新人公演は主演ゲットかもしれません。
主演に比べ、2番手や3番手役の方が役幅は広がると思うので、面白がって役と向き合って下さい。
※ ここでは2020年11月再演版『エル・アルコン』について触れています。
∇ 新公語りが停滞しがちでごめんなさい