『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』感想の続きです。
★石田昌也
演出・脚本は石田先生。
石田先生といえば、(私にとっては)『カンパニー-努力、友情、そして仲間たち-』
青柳誠一さん(珠城りょう)が好きで好きで、今でも結婚したいくらい好きです。
石田先生はサラリーマン物、バディ物がお得意ですね。
宝塚でサラリーマン物は珍しいですが、私はツボにはまりました。
宮仕えの身としては、共感も覚えますし、「こんな同僚がいたら」と思ったりも。
刑事のバディ物『相棒』(花組2009)も、石田先生の手によるものでした。
『壬生義士伝』(雪組2018)は、単身赴任まで取り上げる新境地開拓。
『幽霊刑事』はサラリーマン物であり、バディ物でもあります。
神崎達也(珠城りょう)と早川篤(鳳月杏)は警察学校の同期。
配属先は別の署でしたが、同じ釜の飯を食った絆は健在。
そして刑事もサラリーマン。
警察署長・中井(朝霧真)は体面や市民の目を気にしまくります。
それもまた、組織に組み込まれた者の悲哀ですね。
リアルな設定に盛り付けたフィクション。
その匙加減が、共感とトキメキを運んでくれます。
★珠城りょう(94期・研13)
上司に射殺されて、幽霊になった刑事・神崎達也。
殺される理由などないのに、何故?
霊媒体質の同期刑事・早川篤(鳳月杏)とタッグを組み、謎を解明します。
神崎達也は、武道に長け、心身ともに伸びやかな人物。
原作の神崎さんはガッチリした顔つき・身体付きの設定。
珠城りょう演じる神崎達也は、人柄や空気感は原作そのまま。
トレンチコートやスーツが似合う男前。
襟元を開いたシャツイチ姿は、色っぽくてどうしようかと。
早川(鳳月杏)とのやり取りは、豪速球の投げ合いを見ているよう。
相手に投げかける事。
相手のボールを受けとめる事。
それをお互い楽しんでる事が伝わってきました。
珠城さんがこの上なく楽に呼吸している事が伝わってくる舞台でした。
珠城さんたっての希望で実現したバウホール公演。
バウホールには多くの思い出が詰まっていると仰っていた珠城さん。
珠城さんと鳳月さんが兄弟を演じた『月雲の皇子』もバウホールで上演されました。
同じく主演作の『Bandito』もバウホール。
相手役は同期の早乙女わかば。
フィナーレの高速回転リフトに驚いたものです。
珠城さんが可愛いウサギさんを演じた『アリスの恋人』
2番手として主演を支えた『春の雪』も。
『アリスの恋人』や『春の雪』は明日海りお主演作。
珠城さんの思い出の中には、明日海さんも多く登場しそうですね。
珠城さんは頼もしいトップさんの顔を見せつつ、お茶目な顔も見せつつ。
舞台上で共演者へ向けるまなざしが真摯で優しくて。
母親(京三紗)へ向けるまなざし。
恋人・須磨子(天紫珠李)へ向けるまなざし。
天乃愛(白河りり)へ向けるまなざし。
それぞれ異なる慈愛が溢れていました。
愛と包容力にあふれた舞台姿。
珠城りょうの持ち味をたっぷり引き出した役柄であり、物語です。
▽ええ舞台や…!