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2019 宝塚My Best③芝居心

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2019年も押し迫ってきました。
NHK紅白歌合戦みてます。
チコちゃんと岡村、紅白潜入成功おめでとう。
『チコちゃんに叱られる』で画策してたものね。

本拠地・宝塚大劇場では、雪組公演が明日から始まります。

嵐がやーってくる〜♫(ポーの一族)
…もう2年前なんですね。

さて、一年を振り返り、私・シエスタのごくごく個人的な年間感想をまとめてみます。
項目ごとに、今年一番グッときたポイントを振り返ります。

生徒については、フィギュアスケートに倣い(?)シニア(上級生)とジュニア(下級生)に分けてみました。
ジュニアの定義は、新人公演学年と規定します。

それでは、振り返りレビュー続きスターティン♡(@りんごちゃん)


★ My Best 芝居心(男役)

◆ SENIOR:明日海りお(花組89期・研17)

嵐を遠ざける晴れ男役。
2019年11月24日付退団。
現時点ではOGの明日海さん。

『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』は「男役の集大成」と言いづらい役どころ。

薔薇の精霊エリュは、見た目はたおやかで神秘的。
…ですが、妙にゴツイ印象もあり、「一筋縄ではいかない」「捩じくれた」奴に見えました。(←奴呼ばわり)

一応(?)フェアリータイプと分類されてきた明日海さんてすが、「今の明日海りお」には似合うと言い難い役だと、私は感じました。
エリュを演じる事は「新たなる挑戦」だった事でしょう。

明日海さんは最後の最後まで、チャレンジャーでした。
それが『明日海りおらしさ』だったのかな。

与えられた機会は…それが困難であろうと…全てクリアして来た明日海さん。
その根底に流れるものは『宝塚が好き』『男役が好き』そして多分『お芝居が好き』

上級生に「お芝居好きでしょ?見てたら判るよ」と言われ、「丁寧に取り組んでたら、好きに見えるのか」からの「お芝居、好きかもしれない」という驚きのキッカケではありますが、なるほど、一種のピグマリオン効果なのかな?

いまや、本物のお芝居大好き人間に成長された明日海さん。
そのコダワリと情熱を敬服しています。


▼ JUNIOR:聖乃あすか(花組100期・研6)

聖乃さんの事は「優しい顔立ちの男役さんだな」と、ふんわりした印象を持っていました。
ある時点までは。

ある時点とは、『MESSIAH』新人公演。
本役(明日海りお)に寄せまくった、鬼気迫る天草四郎時貞でした。
気迫に圧倒され、閉幕後もしばし席を立てず。
聖乃あすか率いる花組下級生が創り出した舞台に呑まれました。

『CASANOVA』新公では、コンデュルメル(本役:柚香光)を怪演。
悪役であり、笑いも取り、切なさもあり、カッコよさもある。
多面的な魅力を、太い輪郭で演じました。

『邪馬台国の風』新公で黒い敵役・クコチヒコを演じた時は、線が細かったのに。
一回りも、二回りも大きくなりましたね。

『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』本公演では、白薔薇の精役。
青い薔薇の精・エリュ(明日海りお)のかつての姿(幻影)を演じました。

ヒネてて偉そうな明日海エリュに比べ、優しく穏やかな聖乃エリュ。
ほとんど別人。(いや、精霊だ)

新人公演では、聖乃あすか主演。
青い薔薇の精を演じました。

新公の白薔薇の精は、天城れいん(104期・研 4)
れいん君の白薔薇の精はクールビューティ。
青薔薇の精となったエリュとの連続性を感じました。

新公後も、ほのかちゃん(聖乃)は変わらず独自路線の白薔薇を演じていました。

正直、もっともっと明日海エリュに寄せて来るかと思っていました。
何故だろう?…と思っていましたが、ふと気づいた事があります。

私たちが見ている白薔薇の精は、シャーロットの回想の中の存在だという事に。

白薔薇の精は、シャーロットが無邪気で幸福だった頃の思い出の一つなんですよね。

青い薔薇の精が苦悩と葛藤の塊であるように、白薔薇は純粋な美と愛、そしてトキメキの象徴。

聖乃あすかの白薔薇の精はひたすら美しく、優しく、切ない存在であり続けました。

聖乃あすかの白薔薇も、天城れいんの白薔薇も、それぞれの解釈が生きていたと思います。

…と、これは舞台を観て感じた、私の推測に過ぎません。
聖乃くんや天城くんが、どんな風に考えていたか?…実際は知る由もありません。

ただ、なんとなく花組の下級生たちの役への取り組み方を垣間見た気がしました。

明日海りお率いる花組は「芝居の花組」だったのかな。
少なくとも、深く深く役と向き合う姿勢は受け継がれたと思います。


★ My Best 芝居心(娘役)

◆ SENIOR:華優希(花組100期・研6)

新公学年ですが、トップ娘役として大劇場デビューし、素晴らしい演技を見せてくれまして…シニア部門で語ります。

華優希をビジュアル特化型と評する向きもありますね。
何かに特化していると言うなら、この人の場合、圧倒的にお芝居だと思います、私はね。

『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』はヒロイン・シャーロットの物語でした。
そして、シャーロットは私達の化身でもありました。

無邪気で幸せな少女時代。
周囲に理解されず、変わり者扱いされる寄宿学校時代。
母親を亡くし、再婚した父親は後妻の言いなり。
心ならず従った結婚、そして離婚。
父の他界。
事故で不自由になった足。
次々と襲いかかる孤独と哀しみ。

薔薇の精霊・エリュの存在が、シャーロットを支えました。
エリュが、シャーロットの記憶に残りたいと願ったように。

離れていても互いの存在に支えられ、生きて来られたエリュとシャーロット。

トップコンビが向き合って芝居をしたのは、シャーロットの少女時代と老年期、それぞれを合わせても10〜15分位でしょう。

シャーロットの物語も、途中の数十年分は「不明」として描かれていません。

そんな短い時間とは思えぬほど、濃密な物語を明日海りおと華優希は紡ぎました。

少女時代から晩年まで、声の高さや話し方、空気感などでそれぞれの世代を表現。
最も苦悩が深い結婚生活や、老年期…大人の葛藤や孤独、そこを超えだ境地。
それらの表現が驚くほど自然でした。
華優希に共感し、泣かされました。

華優希の声質も滑舌も良く、柔らかな空気感はまさにマドンナ。
母性を感じる包容力あふれるトップ娘役です。

初演『はいからさんが通る』のナウオンで、並居る男役さん達が揃ってメロメロになっていましたね。
きっと「この人と一緒にいたい」と思わせる人なんでしょうね。

歌は努力項目ですが、声は綺麗な華ちゃん。
オリジナル曲では音域を配慮して頂ければ、華優希の芝居心と表現力でカバーしていけるのでは…と期待しています。


▼ JUNIOR:彩みちる(雪組99期・研7)

『壬生義士伝』新人公演で、三度目のヒロインに抜擢された、ちるちる。
最近は脇を締める上級生の役を務めてきたので、本人も長の期でのヒロイン抜擢に驚いたそう。

新公初主演の相手役・彩海せらは102期生。
三学年下の後輩男役を立てる様は、清楚でけなげな妻しづと重なりました。

華やかな大店の姪・みよは別人が演じているようでした。
登場人物の演じ分けが出来てるんだなぁ…と。

作品を経る毎に、演技を深めている事が伝わってくるみちるちゃん。
今後がますます楽しみな舞台俳優さんです。

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