2019年9月10日(火)花組『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』新人公演(宝塚大劇場)感想の続きです。
お芝居心がある人だなぁ…と観るたび、感服しています。
★都姫ここ(104期・研2)
自然を愛する子爵令嬢シャーロット。
本役:華優希(100期・研6)
研2で新公ヒロインに抜擢された都姫さん。
完全にノーマークでした。
本公演では、幼い頃のシャーロット役。
無邪気で愛らしい少女時代(7~9歳)を演じています。
本役(華優希)をなぞり、己に出来るかぎりのベストを尽くしていたと思います。
小柄で丸顔で声も高いので、少女時代はナチュラルに可愛らしい。
人妻になってからは大人を演じるため、声を低くしようと努めていた ここちゃん。
大人の低め発声はちと苦しげでしたが、シャーロットの辛そうな様子は伝わってきました。
老年期の芝居は、訥々と…。
年配の声を模索しながら、同時に感情を込める事が難しかったと思います。
(その分、聖乃エリュがカバーしてい、ました)
低い声が出しづらそうで、声の芝居に苦戦していたようでした。
器質的な条件が揃わないと低音ボイスは出せないので、無理して喉を痛めませんように。
シャーロット最大の見せ場であり、本作で最も魂を揺さぶられる場面が、年老いたシャーロットと薔薇の精霊エリュとの再会。
歳を重ねた時の表現が課題でしょうか。
歌う場面では、素直で伸びやかな歌声を披露。
エリュ(聖乃あすか)とのデュエットも耳に優しく。
新公とはいえ、研2でヒロイン抜擢はプレッシャーが大きかった事でしょう。
大舞台に立っての健闘に拍手を送ります。
★帆純まひろ(99期・研7)
植物の研究者 ハーヴィー・ロックウッド。
本役:柚香光(95期・研11)
本公演ではハーヴィーの助手で、明朗快活な青年マシューを好演中のまひろ君。
新公を観ながら、「まひろ君が助手(希波らいと)に切符を手配してもろてる」と出世ぶりに内心ウキョ♪
本公演は、どの作品でも若者の役を当てられるためか、声が高いのですが、新公では低めに。
新公ボイスの方が、個人的には好きです。
まひろ君は端正な顔立ちで、大輪のひまわりのように明るく華やかなビジュアルなのに、おそらく本人の素は控えめな予感。
グイグイ行きそうに見えて、「どうぞどうぞ」と譲っちゃうタイプじゃなかろうか。
ハーヴィーも我慢強く真面目な青年なので、すんなり役に溶け込めたのでは?
華やかなビジュアルなのに、出過ぎない二番手役としては、ピッタリ。
でも、もっと「俺を見ろ!!」な面も押し出しても良いと思います。
銀橋で歌うソロ、頑張ってました。
決して上手くはないけれど、しっかり歌い切っていました。
明日海りお退団後の花組では、中堅どころに水美舞斗・和海しょう・羽立光来といった歌上手がいるものの、若手では…となると、思い浮かびません。
歌う機会が与えられず、埋もれているだけかもしれませんが。
本公演でも、どんどん抜擢されている帆純くん。
もし歌が上達すれば、美貌に加えて強力な武器となるでしょう。
★糸月雪羽(100期・研6)
シャーロットの養育係メアリー・アン。
本役:芽吹幸奈(90期・研16)
雪羽ちゃんの落ち着いた声は、耳に心地良い。
滑舌もしっかりしているので、台詞も聴き取りやすい。
演技も上手いし、顔立ちも品が良く可愛らしい。
メアリー・アン役も、本役さんを忠実に再現していました。
厳しいけれど、優しく、いつも身近に控えてくれている心強い味方。
ヒロインに優しく寄り添うお役も似合いますが、ヒロイン姿も観てみたい娘役さんです。
★一之瀬航季(100期・研6)
ハーヴィーの勤務先の社長。「時は金なり」が合言葉。
本役:瀬戸かずや(90期・研16)
一之瀬くんは押し出しが良く、包容力が感じられる男役さん。
演技の作り込みが細かく、おそらく繊細な気質なのだろうなぁ…と推察しています。
笑いを誘う社長役だからか、細かく表情を変化させていました。
特に、Mysterious Lady(音くり寿)との掛け合いは、猫に威嚇されて驚いたり、お金儲けの下心満載感を表情でわかりやすく表現したり。
★侑輝大弥(102期・研4)
ハーヴィーの叔父で、シャーロット邸の庭師だったニック。
本役:水美舞斗(95期・研11)
入団した当時から、良い面構えをしていた大弥くん。
今回のニック役、本役のマイティと同じく、見た目も醸し出す空気も爽やか好青年。
謎の老婦人がニックを「あれはいい男じゃった」と褒めますが、マイティ同様、「うん、確かに」と頷けます。
かなり痩せましたね、大弥くん。
もともと身体は細かったけれど、顔のお肉がとれてて驚きました。
(やや丸顔っぽかったのに、シュッとしててビックリ)
もともと端正な顔立ちでしたが、美しさに磨きがかかりました。
背が高く、スタイルも良いですしね。
水美ニック同様、草花を手入れするマイムや、草花やウィールドン一家に向ける表情の柔らかさなど、細かい演技も作り込んでいました。
本役さんをきっちりトレース。
フローレンス(咲乃深音)への秘めた想い、切なさを、顔だけでなく、うなだれた首筋や握りしめた手、歩む歩幅や速度なども含め、繊細に表現していました。
フローレンス(咲乃深音)とのデュエット(歌)は緊張したのかな?
若き歌姫・深音ちゃんに助けられていました。
若手の美形に歌ウマ不在の今、歌に磨きをかければ、さらに注目度が増すと思います。
本公演では、役名はついていませんが、ヴィッカーズ商会て働いています。
耳元で騒ぐ妖精にハーヴィーが「うるさい!仕事の邪魔だ!」と叫んだ時、とばっちりを受けて謝ってたような…?
(違う人なら、ごめんなさい)
毎回、ネリー(春妃うらら)が差し入れしたスコーンをめちゃくちゃ美味しそうに食べてますね。
残ったスコーンを箱ごと独り占めしてた事もあったような…?!
一之瀬航季くんといい、小芝居好きが揃ってます、ヴィッカーズ商会の若手社員は。
※ ご参考までに、歌劇9月号 120頁 『ウォッチ・ザ・フォース花組』に102期生が掲載されています。
▽新公感想、まだまだ続きます

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