花組『MESSIAH－異聞・天草四郎－』キャスト別感想です。
ネタバレを含みますので、まだ知りたくない人はお気をつけて。
★明日海りお：天草四郎時貞（夜叉王丸）
神をも畏れぬ海賊…海乱気（かいらぎ）や倭寇（わこう）と呼ばれた男。
銀橋から登場しますが、暗闇の中、オーケストラピットから銀橋へ大股でひょいと登る様が男子。
客席に背を向けて立つ姿も男子。（仁王立ちだよ！）
振り返った顔つきが、これまたワイルド系男子。
同胞と快活に船を操る、海の男。
嵐に遭遇し、天草に漂着後は、ムスッと黙り込む夜叉王丸。
そこも男子っぽい。
物語が進むにつれ、四郎の表情がどんどんほぐれ、気持ちが広がり、魅力が増していきます。
野性味あふれる逞しさに加え、柔和な温かさ。
そして、何といっても包容力がすごい。
包容力といえば、思い出す事が。
2014年、VISA が明日海りお特集番組を製作してくれました。
（放映は2015年１月）
トップスターに就任したての大劇場お披露目公演『エリザベート』の頃を軸に、明日海さんのインタビューや舞台稽古、VISAカレンダー撮影風景などをフィーチャー。
その中に、花組生数名が座談会形式で、明日海りおを語るコーナーがありました。
メンバーは、高翔組長・紫峰副組長・芹香斗亜・花乃まりあ・柚香光。（以上、2014年当時）
芹香斗亜が「（明日海さんは）舞台上での包容力がすごい。身を任せられる」と語っていました。
（ルドルフとして、トートに身を任せてましたね、キキちゃん）
その時は内心、「ありがとうキキちゃん……もしかして気を遣ってくれてる？」と思ってたんです。
…しかしながら、今は空気で感じます。
客席にいても、伝わってきます。
役を通して、明日海さん自身が備えている包容力が。
トップスターとして花組を牽引し、気がつけば、組長（高翔みず希）・副組長（花野じゅりあ）に続く上級生となった明日海さん。
学年的なモノもあるだろうけど、それ以上に経験や蓄積の厚みを感じます。
「花組の先生になりたい」と仰ってましたが、「花組のお父さん」に落ち着きつつあるのかな？
プルミエールで、明日海さんを「お父さん」と表現してくれた、ゆきちゃん（仙名彩世）
ゆきちゃんにとっては旦那様ですね。
よりアットホームで、温かい絆を花組のみんなと深めているんだろうなぁ。
天草と島原の連合軍３万７千人を率いた天草四郎時貞が、明日海りおと重なって見えました。
明日海さんの経て来た道のりが、役に厚み・深み・説得力・リアリティ……そして何より魅力を倍増させています。
単なる役創りに終始しない、大きな波動を感じます。
２階席の端っこにいても、押し寄せてくるんです。
『舞台人・明日海りお』に加え、『人間・明日海りお』……それぞれの充実ぶり、深まり具合が『天草四郎時貞』に反映されているんですね。
回数を観る毎に、クセになる四郎時貞です。
★仙名彩世：流雨（るう）
ゆきちゃん、どんどん可愛くなっていく…と毎回思います。
ヘアメイクはもちろん、佇まいが愛らしいんです。
綺麗で愛らしいだけではない、良い意味での強さを毎回、感じます。
今回の流雨も、然り。
流雨は可憐で控えめな女性ながら、芯の強さを感じさせます。
流雨は物語の中で、何か大きな貢献をしている訳じゃありません。
ですが、リノ（山田右衛門作）や四郎が惹かれる気持ちがなんとなくわかる、言外の説得力を備えているのね。
これはおそらく、仙名さん自身の人柄が滲み出ているんだと思う。
仙名さんの忍耐強さ・内に秘めた情熱・視野の広さが、演じる役を通して透けて見えるような。
もちろん、実際に仙名さんがどんな方か、素の彼女を知っている訳ではありません。
ただ、組んでいる明日海さんが、ゆきちゃんについて毎月のようにVISAメッセージで触れるとか。
ショーの中の好きな場を尋かれ、トップコンビのデュエットダンスと答えるとか。（博多座『Sante!!』）
今までの明日海さんなら、間違いなく男役群舞と答えたと思うだけに。
他のメンバーが男役群舞について触れたので、敢えて外した可能性はあるにしても、他メンバーに花を持たせる回答が多かった明日海さん。
やはり画期的すぎる。
どれほどの信頼を、ゆきちゃんにおいているのでしょうか。
明日海さんにとって、ゆきちゃんは技術面・精神面ともに安心できる存在なんだろうなぁ。
妬けるぜ、ゆきちゃん。（←褒め言葉）
ありがとう、ゆきちゃん。
まさに、サンタ・マリアです。
▽ブログ村さんの「いいね」
