Quantcast
Channel: シエスタの庭
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2993

鳳月杏の中大兄皇子と明日海りおの大海人皇子(花組『あかねさす紫の花』)

$
0
0

花組・博多座公演『あかねさす紫の花』

「閉幕後に語り倒す」という、私にしては珍しい現象が起きています。
…Bパターンを観たのが、遅かったですしね。

それでは改めて、『あかねさす紫の花』における兄弟について。
熱く思いを馳せたいと思います。

皇族兄弟のほかにも、鏡職人兄弟もいますが。

そう、銀麻呂(天真みちる)と天比古(A.柚香光、B.鳳月杏)です。

こちらも良い兄弟ですよね。
兄・銀麻呂(天真)が弟・天比古の才能を認め、ものすごく可愛がってて。
えらい違いや……いえ、なんでも。

それでは、Aパターンの中大兄皇子と大海人皇子について語らせて頂きます。


1)鳳月杏の中大兄皇子(兄)

長身で涼しげな容姿に恵まれた鳳月杏。
貴族的な空気を醸し出したら右に出る者がいない、ちなつちゃん。

中大兄皇子ガハマらない訳がない…!
登場した瞬間から、皇太子でした。

トップスター・明日海りお(大海人皇子)とセンターを分け合っても、揺るぎない存在感。

帝王の兄と、貴公子の弟。

顔立ちは似ていなくても、醸し出す空気が皇族の二人。
兄弟に見えました、しっかりと。

また、舞台に於いては、容姿自体はあまり似てない方が良いと思いました。 

似たような衣裳を着る事もあり、烏帽子を被っていたりで、顔立ちや体格が似ていると、見分けがつきにくくなります。

ヅカオタ(&ジャニオタ)にとって、贔屓の舞台やライブにオペラグラス必携は基本。

…ですが、一般の方々はオペラグラスを持参されない確率が高いかと。
それ以前に、マイオペラをお持ちではない方が多そうです。

実際、博多座は地元の方が多く観覧している印象を持ちました。

卑近な例ですが、福岡在住の友人母娘も観に来てました。
とっても楽しんでくれてて、こちらまでハッピーが感染♡

それに、花組は13年ぶりの博多座。
「今の花組生達は初見」という地元の方々も多そうです。

そういう意味でも、鳳月と明日海が演じる兄弟は、理想的でした。

同じ衣装を着ていても、顔立ちも、(体格差ゆえの)シルエットも違う。

そして高貴な風情は、舞台上で断トツの二人。

見分けがつきやすい見た目。
でも、発する空気は同質。
まさに、近しく育った兄弟。

明日海さんの方がやや小柄で華奢な点も、「兄と弟」というイメージに当てはまりやすく、プラスに働きました。

大海人皇子に対するちなつ中大兄は、泰然とした兄。
なんかもう、『兄貴の圧』がスーパーナチュラル。

ごくごく自然に「当然、俺に従うよな(信じて疑わず)」って感じ。

だから、「狂ったか」「ばかもの!」も関西弁に訳すと、「何ゆーてんねん?」と申しますか…。

ある意味、どんだけワガママを通しても、「お前ならわかってくれるよな」という甘えすら含んだ、信頼関係を通り越して、「大海人のものは、俺のモノ」みたいな?……ジャイアン?!

いえいえ、仲の良い兄弟姉妹ほど、境界線が曖昧になる事があるじゃないですか。

冷蔵庫にあったプリンを、勝手に食べちゃって、
「もお~!楽しみにしてたのにぃ」
「ごめ~ん(てへぺろ)」
…みたいなね。

「てへぺろ♡」じゃ済まないんですが、それでも許されると思ってしまう、身内ゆえの甘え。

そんな甘えが許されてきた、ある意味、とても強固で濃密な関係性を感じさせます。

…あ、うちの姉妹なら、てへぺろでは許されませんよ?
食べ物への執着がつよいので。

(食べ物じゃなくて、額田女王だから。この兄弟が取り合ったのは)

冗談はさておき、少年時代から、大海人皇子は兄を尊敬していました。

中大兄皇子は皇族にして、クーデターのリーダー。
中臣鎌足はじめ、協力者はいても、他の者とは明らかに立場が異なる。

高貴な身分のリーダーであるが故に、孤高の存在である中大兄皇子。

中大兄の孤独を真に理解していたのは、弟の大海人皇子でした。

…だからこそ、中大兄の横暴を、大海人は最終的に受け容れたのでしょう。

中大兄は様々な『叛逆の目』を摘む、極めて猜疑心が強い帝。

それが、大海人皇子だけは最後まで遠ざけず、約束通り、後継者として側に置き、重用し続けます。

誰より己を恨むのは、弟の大海人皇子のはずなのに。

裏返せば、誰よりも己を許容してくれるのは、弟の大海人皇子だと思っていたのでしょう。

どれほど絶大な信任をおいていたのか…。

弟の愛を信じて疑わない、意外なまでに純粋な兄。

そう感じさせる、クールビューティな帝王でした。


2)明日海りおの大海人皇子(弟)

まず、みずら姿の大海人皇子(16才)の瑞々しくピュアなビジュアルと言動にキュン。

可愛すぎるだろう…!!

優しいし、可愛いし、中大兄皇子のフォローもすれば、額田女王の相手もできる。
まさに飛鳥時代のジェントルマン。

こんな良い出物、なかなかいませんぜ、奥さん?
なのに、なぜ??
兄貴に乗り換えちゃったんですか?!

(でも、わかる気もするの。強引な求愛にクラッとなる気持ち)
(国を背負う孤高の男性に寄り添い、支えたい気持ち)
(己の可能性を試したい気持ち)

大海人皇子は優しく、寛容であるが故に、額田女王を奪われる隙を与えてしまったのかな…。

寛大で忍耐力がある、本当の意味で強い人間ほど、甘えたり、頼られたりして…搾取される傾向がありますしね…。
また、堪えてしまうのよね…。

キャパシティが広い人間ほど、損失を被るなんて、ひどい話ですが、そういう側面は確かに存在します。

明日海りおが演じる大海人皇子は、まさに名のごとく、どこまでも広く包み込む海のような男。

兄と妻に裏切られる、そんな酷い仕打ちを受けてなお、二人を恨まない…恨めない。

みりお大海人皇子は、酒の力を借りて理性の働きを鈍らせてなお、狂い切れず、苦しんでいました。

彼の苦悩は、聡明で愛情深ければこそ。

国を統べる、有能な兄。
その立場ゆえの孤独。

額田女王もまた、傑出した人物。
女性としての魅力に加え、神事や国事を通して、国家運営を強力にサポートできる。

そういった事がわかるだけに、大海人皇子は辛かった事でしょう。

兄上はずるい。
政務を持ち出してまで、額田を我がものにしようとは。

政治を出されると、『女性としての額田』を必要とする己こそ、ワガママに思えてきて、大海人は更に苦しんだ筈。

兄の立場や心情を深く理解できるからこそ、苦しみはいや増した事でしょう。

そして、大海人皇子はたおやかな容姿からは想像がつかぬほど、強靭な精神力の持ち主。

明日海りおが演じた大海人皇子は、打たれてもなお己を保ち続け、未完成な大器を思わせました。

中臣鎌足(瀬戸かずや)が呟く「この虎が翼を得たら…」どれほど大きな存在となることか。

その台詞が孕む恐怖と期待を体現した大海人皇子でした。


…と、書きながら、舞台を思い出してみて。

鳳月杏と明日海りお。

想像以上にピタリとはまる兄弟でした。

二人とも、上質な品格を備えている点も、兄弟という説得力を強めていたように思います。

清涼な空気をまとっている御二方。
気品があり、高貴さが匂い立つような。

この二人を、中大兄皇子と大海人皇子という兄弟として、私達の前に登場させて下さった事に、心から感謝いたします。

ちなみり兄弟を観る事ができて、本当に幸せでした…!


続いて、明日海りおの中大兄皇子と、柚香光の大海人皇子について語りたいと思います……が、エナジー使い切りました…。

エドガーに吸い取られたかしら…?

(博多から、宝塚に戻っていらしたし♡)
(エナジー吸引されて喜ぶんかい)
(どうしようもないな!)
(きゃ♡)


▽ブログ村さんの良いね
にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2993

Trending Articles