※ ネタばれする可能性大なので、まだ知りたくない、という方はご注意下さい。
雪組さんオリジナル脚本『ケイレブ・ハント』
正塚晴彦先生の大劇場作品は、お久しぶりですね。
ミステリアスで、サスペンス仕立て。
仕事や事件が、世界観のメイン。
男同士の友情や絆の比重が高く、サラリとかっこいい。
女性は女性で、魅力的。
登場する女性は、仮に弱々しく見えても、芯が強かったり。
ケイレブは、テンポ良く物語が進みます。
苦悩するより、まず行動に移す派。
フットワーク軽い、軽い。(さすがちぎさん)
私の場合、正塚先生は『銀の狼』の印象が強くて。
そのため、最後の最後まで気が抜けませんでした。
(『銀の狼』をご覧になられた方には、お解り頂けるかと…)
でも、警戒してたのと違う意味で、今回は意外でした。
正塚先生が繰り出した、変化球と申しましょうか?
一種の魔球と申しましょうか?
とても後味の良い、素敵なエンディングでした。(←魔球…?)
正塚先生のお話とは思えぬくらい、Love要素比率が高い本作。
主要キャストが当て書きだからでしょうか?
正塚先生が、かくもスウィートな脚本を書き、演技プランを練って下さるとは…。
恋愛要素が希薄だからこそ、わずかなLoveの香りにキュンとときめく……。
そんな正塚テイストに、ツボをぐいぐい押されたものです。
それが今回、かなり分かりやすくLove要素が散りばめられてて、瞳孔開きっぱなし。
今まで素材の甘みだけで作ってきたカボチャパイに、三温糖を加えてみました的な?
どんな比喩なんでしょうね、これ。
ちぎみゆコンビに向けられた期待感を、掬い取られたのかもしれません。
正塚先生……ありがとうございます。
ちぎみゆといえば、ラストシーンで歌い上げるデュエット。
素敵でした。
曲調としては短調なのかな…?
そして、半音の上がり下がりが多そう。
ソルフェージュは苦手なので、譜面を起こせる訳もなく。
聴いた印象で、適当なこと言ってます…ごめんなさい。
本作の挿入歌は、娘役が地声で歌える中低音が多い気がします。
繊細で、聴く者をどこか不安にさせる揺らぎを秘めた曲調と申しますか。
そこがまた、ミステリアス&サスペンスな作品世界とマッチしてました。
それでは、各キャストの感想です。
★ケイレブ・ハント(早霧せいな)
早霧さんか探偵って、ハマるんだなぁと改めて思いました。
(ブリドリの『探偵SAGIRI』で証明済でしたが)
フットワークの軽さ、敏捷な動き。
情熱的で正義感に溢れつつ、カッと噴火する事はない。
若々しいけれど、適度な落ち着きもあって。
気持ちを行動で示せる人。
タイミングを逃しかけても、ぐっと掴まえて引き寄せる人。
雨に濡れながら、空港まで駆けつけずにいられない…とかね。
グッと来ます。
そういう直情的なところを、サラッと表現できる。
「つい、そうせずにいられなかった」
大人で、仕事熱心で、熱血漢で、ピュアな少年で。
確かに、早霧さんの当て書きキャラクターですね。
イヴォンヌへ対する接し方が誠実かつ率直で、本気度の高さが伝わってきます。
少し強引だったり、感情表現がストレート気味だったり。
初夏の空にも似た、爽やかな青年ケイレブ。
……実にいい男です。
★ジム・クリード(望海風斗)
濃いキャラクター、一癖も二癖もある人物を演じる機会が多い望海さん。
今回は打って変わって、穏やかで誠実な紳士。
顧客は上流階級・完全予約制探偵事務所の共同経営者。
アポなしで飛び込んできたメキシコ人夫婦に同情し、話を聞く人の好さから、育ちの良さが滲み出ています。
慈愛に溢れながら、単に情に流される訳ではありません。
常に冷静で、責任感が強く、経営者としての視点はシビア。
でも、困って頼って来た人は見捨てない、血の通った温かみ。
恋人はスマートにエスコート。
とても良い人ですが、毒っ気がないだけに難しい役どころだと思います。
そんなジムを、頼もしく魅力的に演じる望海さん。
ケイレブ達の探偵事務所は、客筋が良く、警察とも協調し、手堅く経営している模様。
これらが台詞のみならず、空気感で伝わるのは、ジムの存在感が大きく影響していると思います。
抑えめの演技が光る、探偵事務所…そして、作品世界の屋台骨・望海ジム。
それから、だいもんの歌唱に変化を感じました。
他のキャストと歌う時、己のカラーを消すようになったような…?
ソロ、デュエット、コーラス。
どんな状態で、どんな相手と歌うのか。
それによって、歌い方…声の出し方を変えていたように思います。
単に上手く歌うのみならず、調和を重視する歌唱にシフトしてて。
歌い方まで、ジム・クリードという協調性が高い人物に同化したよう。
だいもん、さりげなく凄いんだけど…!
★イヴォンヌ(咲妃みゆ)
みゆちゃんの人物造形は自由自在ですね。
大人の女性と一口に申しましても、例えば『星逢一夜』の泉とは全く異なる空気感。
ご本人は愛らしいタイプですが、違和感なく、自立した女性を体現しています。
歌唱も安定しています。
本作では、地声の歌唱が比較的多いのですが、裏声との切替もスムーズ。
仕事も恋も妥協しない、現代的でキュートなイヴォンヌ。
ケイレブとは似合いすぎ♡
トリデンテのお三人だけで、やたら長くなってしまいました。
雪組トリデンテ、ほんと素晴らしい…。
……はぁ。
ひとまず区切りをつけさせて頂きます。
彩風咲奈さん、彩凪翔さん、縣千くんなど、まだまだ語りたい…!
……ので、また後ほど。
カテゴリが『縣千』なのに、ちさと君になかなか辿り着けません…(汗)