2023年10月3日(火)東京宝塚劇場にて上演中の『鴛鴦歌合戦/Grand Mirage』が急遽中止になりました。
体調不良を訴える生徒が多く、上演は無理と判断したそう。
どんな荒天だろうが、幕を上げ続けた宝塚。
台風を理由に公演中止するようになりましたが、これも鉄道会社の「計画運休」が行われるようになったから。
もしそれがなかったら、台風でも上演していたのではなかろうか。
その宝塚が、組子が多数、体調不良を訴えたからといって上演を中止するようになるとは。
時代は変わりました。
コロナの影響をもってしてなお、5類になった途端、ほぼ元通り
でちょっと残念なくらいでしたが。
やはり変わってましたね。
ただ、一般企業や官公庁は、職員が自死したからといって仕事を止めないでしょう。
対外的に業務続行です。
だから上演しろ、ってんじゃないですよ?
「ジェンヌさんの体調優先」という意見はあっていい。
同時に、「観劇を楽しみにしてきた人々」にも目を向けたい。
遠くから、様々な事情を抱えながら、やっとの思いで来た人もいるでしょう。
お金や時間や多くのものを費やして来た人もいます。
チケット代の何倍、人によっては何十倍(海外から等)もの交通費や宿泊費をかけて。
コロナの時も思いましたが、「こう考えるべき」という空気ができちゃったら嫌だな、と。
「こんなとんでもない事が起こったのに、舞台に立つなんて無理に決まってる」
「舞台なんか上演してる場合じゃない」
…という視点があってもいい。
同時に、
「何があろうと可能な限り予定通り、上演した方がいい」
…という視点もあって良いと思います。
それは儲け主義とか、そういうんじゃなくて。
いや、それもあってもいいか。
資本主義経済だから。
それに携わる多くの人々にも、それぞれに事情がある。
例えばですが、劇場で働く人々の多くをパートや派遣が占めていると思います。
彼ら彼女らは劇場が閉まれば、時給が発生しない可能性が高い。
劇団都合だから、ある程度は補償されると信じたいところですが。
企業や官公庁が、その内側に種々の事情を抱えても、通常営業を続けていくのは、利用者(顧客)や従業員に対する責任があるからかと。
もちろん、よほどの事態とあれば、休業もするでしょう。
劇団とは業態が違うので、一概に比較できません。
ただ、「普通は営業するよね」と『普通』や『一般』に依らず、劇団は「出演者を重視する」決断を下しました。
宝塚歌劇団として決断を下した。
そこに意義があると思います。
決断の依拠は「生徒重視」
常に「生徒重視」を優先できる訳ではないでしょう。
そのときどきで、優先順位は変わるでしょう。
立場により、視点により、不満も出るでしょう。
そんな時に、それぞれの声を出せれば良いと思う。
「かくあるべし」
「こうあるべき」
…と決めつけず、それぞれが愚痴をこぼしたり、でも譲り合ったり、ちょっとずつ我慢したり。
そんな風に、いろんな事がちょっとずつ許し合える社会になれば良いなと思います。
…なので。
本日の公演を楽しみにして来られた方。
急に仕事がなくなった方。
自分のために悔しがって良いと思います。
他者視点で考えられる事は拍手モノですが、自分のために落胆しても良いと思います。
ただ、劇場スタッフに暴言吐いたり、土下座させてたって?
東京宝塚劇場で、お客さんが。
SNSを通して知りました。
やり場のない気持ちはわかります。
わかりますが、その八つ当たりは…。
…辛すぎる。
これも不幸の連鎖の一端ですね。
最初はきっと、小さな事だったのでは…と思います。
それが巡りめぐって、誰かの命を奪い、誰かの尊厳を傷つける。
「もうハッキリさせなくていい」という意見も目にします。
私が遺族なら、ハッキリさせたい。
本当のことを知りたい。
ただ、それもまた配慮から出てる言葉であり、心情だという事は伝わります。
意見が違ってもいいから、そういった違いを受け容れつつ、それぞれが自由でいられたらいいですね。
花組の東京公演は、10/5(木)まで中止。
10/6(金)以降の公演実施は、10/5(木)午前中に発表するそうです。
▽ 合掌