昨日、「若手の育成再開が急務」という旨、書きました。
劇団さんはすでに対策を講じ始めていると思うので、余計な口出しだと思いつつ。
具体的には、凪七瑠海コンサート『PASSION D’AMOUR-愛の夢-』が思い起こされます。
同作は、スター専科・凪七(89期・研18)の仕事であると同時に、(一部の)雪組下級生の研鑽と実践の場となりました。
かちゃ(凪七)は前年、『壬生義士伝/Music Revolution』(2019年)に出演。
雪組生たちにとって、とりあえず「初めまして」ではありません。
ただ、本公演は人数が多く、専科生は楽屋も別だそう。
かちゃと下級生達が、親しく話すような機会はあまりなかったでしょう。
(メンバーのうち、千風カレン副組長は親しんでましたが)
(でも、かちゃの紳士的なリードもあいまって)
(カレンさん、かちゃの前では可愛い娘役さんでした)
岡田敬二先生の演出・構成による「古き佳き宝塚」が展開された『PASSION D’AMOUR』
同公演は、「宝塚のコンサート」として出色の出来だったと思います。
時間こそ短めでしたが、内容が濃く、宝塚なればこそのコンサート。
名作ショーのリバイバル・コレクションの側面が強く、それが見事にハマっていました。
「古い」と「古臭い」は似て非なるもの。
「OLD」には、 は「年長者」や「懐かしい」という意味もあります。
先達の背中を仰ぎ、懐かしむことの意義や魅力を、かちゃを筆頭に現役ジェンヌ達は大いに学んだことでしょう。
主演の凪七を含め、総勢17名の所帯。
舞台を観るかぎりですが、とっても良い雰囲気。
千風カレン副組長以下、メンバー全員が主演のかちゃを慕い、尊敬している空気感がビシバシ伝わってきました。
全員がリラックスし、のびのびと歌い、踊り、トークにも興じていました。
(下級生は良い意味での緊張感も保っていましたが)
誰より、かちゃがリラックスしてましたしね。
リーダーのカラーがこんなにも滲み出る舞台も珍しいかもしれません。
かちゃは寺小屋の先生みたいな役割も担っていたのかな。
共に稽古をし、本番の舞台に立つことを通して、下級生たちに刺激と教示を与えていました。
一人一人に見せ場がありました。
場と場の繋ぎ目で、ソロまたは少人数口で、歌唱とダンスを披露。
少人数口では、必ずソロも担当箇所がありました。
また、歌が得意な生徒は、複数の登板も。
(叶ゆうり、有栖妃華など)
歌が苦手な生徒には無理に歌わせず、別に見せ場を設ける。
たとえば、星南のぞみや彩みちるは、ストーリー性のある場でヒロイン的な役目を務め、凪七とデュエットダンスが設けられていました。
縣千は、メインの場を丸ごと一つもらっていました。
『SHE』を歌いつつ、複数の娘役に囲まれて歌い、踊る。
どう見ても、二番手相当の役付でした。
縣くんの場合、さりげなく研1から目立っていました。(特にダンス)
雪組配属一発目の『星逢一夜』と併演の『ラ・エスメラルダ』で、彩凪翔メインの場で少人数口メンバーに抜擢。
さらに、大階段の男役群舞(黒燕尾/変わり燕尾の白衣装でしたが)にも加わっていました。
途中休演の上級生に代わり、代理登板したので、プログラムに名前は未掲載。
芝居やショーのソロならともかく、群舞の代役のアナウンスはないでしょう。
…とはいえ、さりげなく凄い抜擢だったと思います。
代役とはいえ、配属したての研1が大階段の男役群舞に参加するなんて、なかなか無いことですよ。
また、『星逢一夜』新人公演では、青年・汐太(本役:永久輝せあ)の役が付きました。
御曹司と呼ばれる超路線スターのお役をさせて頂くことも、期待のあらわれでしょう。
余談ですが、雪組配属一作目『私立探偵ケイレブ・ハント』新公で、縣千が本役のお役を演じたのは、彩海せら(102期)でした。
縣千と彩海せらは全くカラーが異なりますが、個性が被らないがゆえに好相性ですね。
スカステの番組・Dream Time でも二人でMCを務めています。
折れ線グラフコンビ。
お互いにタイプが違って、交わらないから…らしいけど。
説明してもらっても意味不明だよ、縣くん。
ま、ええねん。
それが縣やし。
聞いた話ですが、縣くんは音楽学校・予科生のすみれ募金から、注目されていたそうな。
当時から、スター性が抜きんでていたのでしょうね。
かくいう私も、入団前から注目していた一人ですが。
101期生は、2021年に新人公演・長の期になります。
新公の復活が見込めない限り、縣くんの新公主演の実績は一回のみとなるでしょう。
一回だけでも主演できて、良かった…とも言えます。
新人公演の主演を皮切りに、バウホール主演、東上公演、全国ツアー主演…と、トップスターに向けて、様々な関門が待ち受けています。
この主演を「カード」と呼ぶ向きもありますね。
新型コロナ感染問題がある限り、以前通りの日常には戻れないでしょう。
新公主演(ヒロイン)はじめ、各種主演(ヒロイン)の経験を積まなければ、トップスター、トップ娘役になれない条件のままでは、いずれ人財不足になりかねません。
前述の『PASSION D’AMOUR』のように、出演者全員に見せ場があり、得意分野を披露できる舞台を踏めれば…と思います。
たとえ新人公演でなくとも、与えられた役目をしっかりと務め、一人一人が舞台を支える姿勢を評価されますように。
下級生が活躍できる機会が設けられますように。
新たな評価軸、新たなカードが生まれますように。
生徒たちが目指せる、新たな目標、新たな指標の創生を願っています。
▽ 若手育成に希望を…!